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大画面テレビ&BD時代のサラウンド入門 第2回

ラックシアターで実現するリビングシアターの魅力

2009年11月28日 12時00分更新

文● 大塚 康一

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ラックシアターの多くはバーチャルサラウンド

 サラウンド機器において、大画面テレビと相性が良いスタイルとして近年人気なのが、「ラックシアターシステム」だ。早い話が、スピーカーやアンプをラックの中に組み込んでしまい、テレビの置き台も兼ねた省スペース型としたシステムのことである。

 ラックシアターシステムの多くは、「フロントサラウンド」を採用している。フロントサラウンドは、リスナー前方に設置したスピーカーのみでサラウンド再生を可能とするシステムであり、ラックシアターシステムのみでサラウンド音声を再生できる。

ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」とシアターラックシステムを組み合わせた設置イメージ

ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」とシアターラックシステムを組み合わせた設置イメージ

 スピーカーユニットの数やスタイルなどはメーカーによってまちまちだが、これらをまとめて、仮想的にサラウンド再生を実現するという意味で「バーチャルサラウンド」と呼んでいる。

 ラックシアターシステムは、そもそもフロントサラウンドだからスピーカーを何本も立てないで済むため、スペース面で有利。また、ひとつのラックにすべてが収まった一体型なので、複雑な配線なども一切要らない(コンセントに電源コードを挿すぐらい)。セッティング時の面倒な作業も必要ない。

ソニーのラックシアターシステム「RHT-G950」の背面。テレビやBDレコとはHDMIで接続するだけ。ちなみにウォークマン専用端子もあり、普段持ち歩いている音楽をラックシアターで出力できる

ソニーのラックシアターシステム「RHT-G950」の背面。テレビやBDレコとはHDMIで接続するだけ。ちなみにウォークマン用端子(デジタルメディアポート)もあり、普段持ち歩いている音楽をラックシアターで出力できる

 リビングルームに置いても、外観はテレビ台なので、それ以上生活空間を圧迫することもない。裏側が接続ケーブルで一杯にならずスッキリし、同時に信号経路が短くなるので音質のためにもいいことになる。

RHT-G950の側面。頑丈な造りだ

RHT-G950の側面。かなり丈夫な造りだ

 また、数十kgに及ぶ重さのテレビを乗せるため、丈夫にできているラックそのものの質量によって有害な振動がカットされ、スピーカー部は剛性の高い重量級のエンクロージャーに収められたようなものなので、やはり音質にとってプラスになるだろう。ホームシアターシステムを意識させず、文字通りテレビを見る感覚で大画面にマッチしたサラウンド音声を楽しめる。

 ただし、ラックならではの制約もある。あまりスピーカーのサイズを大きくできないこと、左右の広がり感はDSPやユニットの向きなどで再現できるものの、物理的にラックのサイズ以上に拡げることはできないため、若干音場が狭まる。アンプの熱がラックにこもりがちなので、あまり出力の大きい(または発熱の大きい)ものは使えない。そこで、発熱が比較的少なく、大出力が得られる効率の良いデジタルアンプが主流となっている。

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