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大画面テレビ&BD時代のサラウンド入門 第2回

ラックシアターで実現するリビングシアターの魅力

2009年11月28日 12時00分更新

文● 大塚 康一

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バーチャルサラウンドも進化している

パナソニックのラックシアターシステム「SC-HTX7-K」の音声出力イメージ

パナソニックのラックシアターシステム「SC-HTX7-K」の音声出力イメージ

 バーチャルサラウンドということで、「音質は期待できないのでは?」と思われるかもしれない。

 バーチャルサラウンドの原理は、5.1chサラウンド再生時のch間の時間差、位相差、音量差などの音情報をDSP(信号処理プロセッサー)で人工的に作り出してリスナーの左右の耳に伝え、あたかも複数のスピーカーに囲まれているような錯覚を起こさせるというもの。

 フロントの左右chとセンターchは前方から直接、本来は後方にあるリアの左右chや壁などに反射した音などの情報を前方から届く音に加えてミックスすれば、結果的に5.1chサラウンド音声として聴こえることになるわけだ。

ヤマハのデジタルサウンドプロジェクター「YSP」シリーズのビーム放射イメージ

ヤマハのデジタルサウンドプロジェクター「YSP」シリーズのビーム放射イメージ

 一方、前方のスピーカーから音をビーム状に放射し、周囲や背面の壁、天井などに反射した音をサラウンド成分として利用する方式もある。部屋の大きさや壁面の材質などに影響されるという泣き所はあるが、音情報に方向性を持たせて自由にコントロール可能という点で、よりリアルなサラウンド効果が得られるという。

 では、5.1chのうち0.1chに相当するスーパー(サブ)ウーファーの音はどうするかというと、スピーカーユニットに重低音を再生する能力があれば前方からの音情報そのものに振り分ければいいし、それが厳しければ別途スーパーウーファー本体だけを追加する方法がある。

 いずれにしろ、重低音はほとんど指向性がないため、他の中高域を再生するchほどは音情報を発する方向や位置がシビアでなくてもいいわけだ。

 バーチャルサラウンドシステムには、DSPの性能、DSPが作り出した音情報を正確に再生するスピーカーユニットそのものの特性、両耳間のクロストークを解消するための高度なノウハウ技術などが必要だが、現在製品化されているものは、概ねそれらの要素が実用上問題ないレベルにまで達していると考えていいだろう。

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