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ユーザーの期待を裏切るコンテンツの改善 (2/4)

2009年10月30日 21時00分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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アドバンスセグメントを適用するレポートを選ぶ

「アドバンスセグメントを使うと、通常のレポート以上の指標が読み取れることは分かりましたが、どのレポートを元にアドバンスセグメントを作ればいいのか分からないです」――はい。アドバンスセグメントもGoogle Analyticsの他のレポートのように、だらだら指標を読むだけで満足してしまう危険があります。まずは何を読み取りたいのか考えましょう。

 いま知りたいのは、「ノーリファラーや参照サイトに比べて、検索エンジントラフィックのユーザーだけが不満を感じたページはどれか?」です。この文の中で「不満を感じたページ」の部分は、Google Analyticsのレポートにはありません。そこで、「ユーザーがWebサイトを訪れて最初に見るページが、ユーザーの期待に反していたとき、ユーザーは不満を感じて、前にいたページに戻ったり、Webブラウザーを閉じたりする」と考えることにします。つまり、「ノーリファラーや参照サイトに比べて、検索エンジントラフィックのユーザーだけが不満を感じたページはどれか?」を知るには、閲覧開始ページの直帰率が、ノーリファラーや参照サイトに比べて、検索エンジントラフィックだけ高いページを探せばいいのです。これで、曖昧な問題を具体的な作業に落とし込めます。


閲覧開始ページの直帰率をトラフィック別に集計したレポートを作る

 「ノーリファラーや参照サイトに比べて、検索エンジントラフィックのユーザーだけが不満を感じたページはどれか?」を調べるために、「コンテンツ」メニューから「閲覧開始ページ」レポートを表示します。次にレポートの右上にある「アドバンスセグメント」ボタンを押して、「デフォルトのセグメント」リストから「検索トラフィック」「ノーリファラー」「参照トラフィック」の3つを選んでチェックします。「適用」ボタンを押すと、しばらく時間が経ってから以下のようなレポートが表示されます。

あるページのトラフィックをアドバンスセグメントで調べたところ

 上の画面は、ASCII.jpのあるサブドメインの集計です。「このレポートはサンプル データを基に作成されています。」とあるとおり、アドバンスセグメントの指標はあまりあてになりません。たとえば、閲覧開始数は全セッションで合計3万5267ですが、検索トラフィックの1万2429、ノーリファラーの1万2832、参照トラフィックの6880を合計しても3万2141にしかならず、実際よりも3126少ないのです。Webサイトの規模が小さければサンプルデータにはならないようですが、「サンプル データを基に作成されています」と表示されているときは、全セッションと各指標の合計にどのくらい差があるか、確認してから分析に取りかかるとよいでしょう。

 少し脱線しますが、アドバンスセグメントで閲覧開始ページのトラフィック別直帰率を見ると、ページによって、検索トラフィック、ノーリファラー、参照トラフィックごとの直帰率がかなり異なる場合があることに気づくはずです。どのトラフィックでも直帰率がほとんど同じページ、あるいは、検索トラフィックだけ、ノーリファラーだけ、参照トラフィックだけ、直帰率が低かったり、高かったりするページがあり、普段見慣れた直帰率という指標では分からない、ユーザーの感想が見えてきます。こうしたトラフィックによる直帰率の違いは、以下を参考に読み取ってください。


閲覧開始ページの直帰率の読み取り方

  低い 高い
閲覧開始ページの直帰率が、どのトラフィックでも同じように 誰にとっても面白いページ。世間一般の関心(検索トラフィック)とWebサイトの常連ユーザー(ノーリファラー)とコンテンツ制作者の意識が一致している。 誰にとってもつまらないページ。コンテンツ制作者の技量、商品力が不足している可能性がある。
閲覧開始ページの直帰率が、検索トラフィックだけ 縁の下の力持ち。Webサイトの常連ユーザー(ノーリファラー)の意識が世間一般の関心とずれており、新規ユーザーを開拓できるチャンスがあるのに、常連ユーザーには受けが悪い。 内輪受け。Webサイトの常連ユーザー(ノーリファラー)とコンテンツ制作者の意識が世間一般(検索トラフィック)の関心とずれており、常連ユーザーしか満足させられない。
閲覧開始ページの直帰率が、参照トラフィックだけ 新しい鉱脈の可能性。コンテンツ制作者が、Webサイトの常連ユーザー(ノーリファラー)と異なるユーザー層(検索トラフィック、参照トラフィック)の存在に気づいていない可能性がある。 囲い込み成功。常連ユーザー(ノーリファラー)と異なるユーザー層(検索トラフィック、参照トラフィック)には受け入れられないが、特定のユーザー層には受け入れられている。

「あれれ、閲覧開始ページの直帰率がノーリファラーだけ低かったり、高かったりする場合は、どう読み取ったらいいのか書いてありませんよ」――ノーリファラーの閲覧開始ページは、一般的にはサイトトップやカテゴリートップが多くなります。個別ページがノーリファラーの閲覧開始ページになるのは、RSSフィード経由やメールマガジン経由のはずです。閲覧開始ページの直帰率を見ても、そのページに問題があるのかまでは分からないので、ノーリファラーについては閲覧開始ページの直帰率は気にしなくてよいでしょう。

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