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ユーザーの期待を裏切るコンテンツの改善 (3/4)

2009年10月30日 21時00分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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ユーザーが目的を達成できなかったページを見つける

 アドバンスセグメントを使って、「ノーリファラーや参照サイトに比べて検索エンジントラフィックのユーザーだけが不満を感じたページはどれか?」を見つける作業に入りましょう。やり方は簡単です。レポートの右側に並んでいる「直帰率」が、検索トラフィックだけ高いページを探せばよいのです。

 ただし、ノーリファラーはページ公開直後に多くなる傾向があり、参照トラフィックはどこかのサイトで参照されたときに多くなります。ページの公開日が古く、賞味期限が切れているページを見ても、Webサイトの改善にはつながりません。Google Analyticsには「ページの公開日が○日以内」のようなフィルタリング機能がありませんので、詳細に検討するには、Excelにダウンロードして、別のデータと組み合わせるなどの工夫が必要です。

 ASCII.jpのあるサブドメインについて見ていくと、検索トラフィックだけ直帰率が高いページが見つかりました。先ほどの表でいうと、「内輪受け。Webサイトの常連ユーザー(ノーリファラー)とコンテンツ制作者の意識が世間一般(検索トラフィック)の関心とずれており、常連ユーザーしか満足させられない。」に該当します。

検索トラフィックだけ直帰率(右端)が100%になっているページ

検索トラフィックだけ直帰率(右端)が100%になっているページ


 該当ページである「http://ascii.jp/elem/000/000/040/40513/index.html」は「タッチパネルはクール! iPhoneが生んだ新潮流」(2007年6月6日公開)という記事です。ASCII.jpは個々の記事のPVなどの指標を公開していませんので、上の指標がいつからいつまでの集計なのかは書けませんが、少ないとはいえ、27セッションの検索トラフィックが100%直帰してしまうのは異常です。この記事は3ページありますので、検索エンジンで何かのキーワードを調べているユーザーの目的とは、明らかに内容が合致しなかったのでしょう。

 ユーザーが何を調べていたのかは、Google Analyticsのドリルダウン機能を使って、「閲覧開始ページ」レポートの「/elem/000/000/040/40513/index.html」というリンクをクリックし、「コンテンツの詳細」レポートを表示し、「閲覧開始ページの最適化」にある「ページ別のキーワード」というリンクをクリックすると分かります。

ドリルダウン機能を使うと、ページ単位でもキーワードを調べられる

ドリルダウン機能を使うと、ページ単位でもキーワードを調べられる


 ユーザーが検索エンジンで使ったのは、「turion ultra」「iphone 予約」「sh906i」「遠竹智寿子」「iphone 3g」「iphone タッチパネル」「i phone タッチパネル」という7つのキーワードです。このうち、「turion ultra」「iphone 予約」「sh906i」「遠竹智寿子」「iphone 3g」は直帰率が0%ですので、サイト内の別の記事に到達したときにユーザーが使ったキーワードです。該当記事に到達するときにユーザーが使ったのは、直帰率と離脱率が100%の「iphone タッチパネル」「i phone タッチパネル」です。

 ここで記事の内容を確認しましょう。「タッチパネルはクール! iPhoneが生んだ新潮流」は、iPhoneそのものというよりも、「iPhoneが上手にタッチパネルをUIに組み込み、iPhoneを強く意識したと思われる製品が登場し、タッチパネルをUIに取り入れた製品をマイクロソフトも発表した」という内容です。一方、「iphone タッチパネル」で検索しているユーザーの気持ちを想像すると、

  • iPhoneを買おうと思っているけど、タッチパネルの使い心地はどうなんだろうか?
  • アップル最高!iPhoneのタッチパネルの素晴らしさを味わえる記事はないのか?

 といった動機が考えられます。該当記事は、こうしたユーザーの気持ちとはまったく方向が異なるので、ページを読み進めずに直帰してしまうのです。

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