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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第32回

プリペイド通信内蔵ネットブック HP Mini 5101を試す

2009年09月25日 11時30分更新

文● 西田 宗千佳

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 今回試用する「HP Mini 5101」(以下5101)は、同社のネットブック「HP Mini」シリーズの中でも、ビジネス向けに位置づけられる製品である。とはいえ、すでに同製品のレビューは掲載済みであり、同じ製品を扱うのは芸がない。

 今回扱うのは、ただの5101ではない。3G通信機能(HSDPA)を内蔵し、HPと日本通信が共同で提供するプリペイド式通信サービス「HP Mobile Broadband」を組みこんだ「HP Mini 5101 Notebook PC HP Mobile Broadbandモデル」である(発売は10月中旬の予定)。ネットブックの名にふさわしい「通信サービス内蔵モデル」の実力をチェックしてみよう。


ネットブックのルールに縛られない「ビジネス向けネットブック」

HP Mini 5101

HP Mini 5101

 まずは、5101のハード的特徴をおさらいしておこう。

 ネットブックのプラットフォームを生かした製品だけに、パーツに目新しいものはない。CPUはAtom N280(1.66GHz)、チップセットもIntel 945GSE Expressの組み合わせ。ということは、性能もおおむね推して知るべし、というレベルである。

 ただし、この製品は「ネットブックのプラットフォーム」を使ってはいても、いわゆる「ネットブックの定義」に当てはまるものではない。OSには低価格なULPC版ライセンスのWindows XP Home Editionではなく、Windows XP Professional(Windows Vista Businessダウングレード)を採用している。無理に安価なOSを利用していないため、ハードウエア要件もネットブックの定義に従う必然性がなくなる。

 そのため、ハードウエア的には「Atom NをCPUに使ったビジネス向けノート」といった方が正しい。メモリーは2GBだし、内蔵無線LANも802.11n対応。ディスプレーも1366×768ドットと高解像度である(こちらは、最近ネットブックでも採用例が増え始めているが)。今回試用したモデルは160GBのHDDを搭載しているが、BTOでは128GB SSDを搭載したモデルも用意されている。

 ハードウエア構成に余裕があることもあり、5101の操作感はなかなか良好だ。CPU性能の問題があり、動作速度は決して速くはないが、OSがXPであることもあってか、強く不満を感じるほどではない。むしろ、画面の広さによる快適さの方を強く感じる。キーボードやボディーの仕上げからも、「無理に安さを追求せず、余裕を持ってハードを作ろう」という意図が感じられる。キーボードはアイソレーションタイプで、打面が小さく、ペタペタとした打ち心地だが、操作感は悪くない。ディスプレーから本体まで、剛性の高い構成になっており、使っていて安心感を感じる。

本体前面

本体前面。非常にシンプルな作りで、無線LANスイッチ以外にはなにもない。ラッチレス構造で、すっきりしたデザインだ

本体左側面

本体左側面。左から電源コネクター、アナログRGB出力、USB×2。電源コネクターは少々太めで目立つ

本体右側面

本体右側面。左からSDメモリーカードスロット、ヘッドホン、マイク、USB、LAN

キーボードはアイソレーションタイプ

キーボードはアイソレーションタイプ。本体が小さめであるせいか、キートップも小さめ。ただし、見た目と違って打ちづらさは感じない。全体の剛性も高く、打鍵感は悪くない

 5101は、6万9930円(Mobile Broadbandモデルは7万1400円)からと、個人向けネットブックに比べて2万円程度高い。基本的に企業向けモデルだからこそ、「ネットブックのベースでパーツ価格を下げつつ、5万円の縛りにとらわれずハイクオリティーな作り」という構成ができるわけだ。これをプラスと見るかマイナスと見るかは、その人の立ち位置によって大きく異なる、微妙なラインといえそうだ。

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