CPUのソケットすら排除して薄型化
マザーボードも、薄型化に関して地道な努力が行なわれている。
磯田「実は、このマシンの場合、CPUにはソケットを使わず、BGA(Ball Grid Array)で直接マザーボードに実装しています。ですからCTOでCPUを選択する際には、マザーボードごと変更されていることになります」
「こういう設計は、製造担当者などからは評判が悪いんです。ですので、多くの製品ではソケットタイプにしているのですが、T400sではどうしてもソケットを入れる高さがとれなかったので、BGAで搭載しています」
磯田「消費電力を下げるには、基本的なことをしっかりやることが重要です。要は、使っていない回路の電流を切ることですね。またこの機種だけの話ではありませんが、CPUのリーク電流は温度が上がると悪くなる傾向にあるので、あえてファンは止めないで、低速で回してしっかり冷やす、といった工夫をしています。そうすると、トータルでの消費電力は下がるのです」
薄型化と心地よさを両立したキーボード
薄型化とともに重視されたのが「操作感」だ。特にキーボードは、過去のThinkPadを思わせる「心地よさ」を備えている。薄型化を進めつつ操作感を維持するには、やはりそれなりの苦労があったようだ。
磯田「最近はキーボードも薄型化しているので、キー自身は当然ペナペナしてしまうわけです。T400も社内基準には適合しています。しかしそれでも、キーによっては沈み込みが悪く感じられてしまった、というのは事実です」
パーツ単体で強度を保つのは難しいですから、いかにボディー全体で強度を保ち、キーボードを支えるかが重要になっています。T400sの場合は、ボディーと一体になったキーボードベゼルでキーを支えることで、押してもペナペナしないキーボードを目指しました。キー配列は賛否両論あるようですが、工夫させていただきました。お客様のフィードバックをこれから待つことになりますね」
磯田「タッチパッドの面積も、かなりがんばって大きくしています。段差もなくしましたし。同様にボタンも大きくしました。ちょっとしたことで、かなり苦労しましたが、操作性に大きく影響していると思います」
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