ウルトラハイエンドはハイエンドGPU×2個に
さてそんなわけで、RV670コアではまずRADEON HD 3850/3870がリリースされたが、これに続いて「RV635」と「RV620」コアが、それぞれ「RADEON HD 3650」と「RADEON HD 3450/3470」として、2008年1月にリリースされる。こちらはそれぞれメインストリームおよびバリュー向けに、シェーダー数やメモリーバス幅を削減した製品である。
また、これと同じ2008年1月には、ウルトラハイエンドの「R680」が登場する。もっとも、このR680なるものの中身は、“RV670×2+PCI Expressスイッチ”で、要するに、先に話題の出たRADEON HD 2600 X2相当の製品をAMD自身が提供した、というだけの話である。
ここでわかりにくいのは、今まで「Rxxx」はハイエンド向けのGPUコア、「RVxxx」はRxxxのサブセットという扱いだったのが、R680からこの図式が崩れ、GPUコアはすべてRVxxxとなり、これを複数組み合わせたウルトラハイエンド向けがRxxxになったことだ。次回で紹介予定の「R700」や「R800」は、いずれも“2つのGPUコア+PCI Expressスイッチ”の組み合わせとなっており、今後はこのネーミングルーツで推移するものと思われる。
話をR680に戻すと、最初に登場したのはRADEON HD 3870ベースの「RADEON HD 3870 X2」で、ついで2008年4月には、RADEON HD 3850ベースの「RADEON HD 3850 X2」がリリースされる。また変わったところでは、RADEON HD 3850をベースに、メモリーバスを半減させてその分低価格化したものを、「RADEON HD 3830」としてリリースした。
この製品、当初は中国市場向けに「RADEON HD 3690」という型番がついていたが、パイプライン構成はRV670そのままなので、名前を変えたようだ。さすがに国内では積極的に扱うベンダーは少なく、輸入品などが多少流通した程度であった。
AMD GPU編最終回となる次回は、現行のRADEON HD 4000シリーズとその後継について語ろう。
今回のまとめ
・AMDに買収後の第一弾は、DirectX 10に対応するR600コアの「RADEON HD 2900」。これ以降、名称がRADEON HD~に変わる。
・R600世代では、「Native CrossFire」に対応。2枚の同じカードでマルチGPU構成が可能になった。これは現在でも受け継がれている。
・2007年11月には、「RADEON HD 3000」シリーズが登場するが、中身はR600世代の改良版「RV670」コア。主にマーケティング上の理由で名称変更された。
・「R680」でAMDは、ハイエンドGPUを2個組み合わせてウルトラハイエンド製品を構成する方式を取り始める。「RADEON HD 3870 X2」はそのひとつ。この路線は現在でも続いている。

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