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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第16回

110nmで苦戦も、90nmのX1800で盛り返したRADEON

2009年08月31日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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R420~RV580+までのATI GPUロードマップ

R420~RV580+までのATI GPUロードマップ。各項目の内容は、製品名、開発コード名、Vertexシェーダー数/Pixelパイプライン数/テクスチャーユニット数/ROP数、コア動作周波数、メモリデータレート、メモリ種別、帯域、インターフェース、ファウンダリーと製造プロセス

AGPとPCI Expressの過渡期に登場したR420世代

 2003年3月に投入した「R350」コアと「RADEON 9800」で、性能面ではほぼNVIDIA社と互角になった旧ATI Technologies社(以下ATI)。引き続き性能面でのアドバンテージを確保すべく、2004年5月には「R420」コアを投入する。420と番号がやや飛んだのは、「R400」とR400をベースにした「R500」コアが開発されていたものの、それらが2003年9月頃にキャンセルになったためだ。

 R400/R500スキップの詳細な理由は、当然ながら発表されていない(公式にはR400/500の存在そのものが発表されていない。非公式なロードマップではちらちら名前が出ていた)。一時期は「R400をキャンセルしてR500を前倒しするのでは」という観測も流れていたが、最終的にはどちらもキャンセルになってしまった。当初のR400のスケジュール(2004年第1四半期という話だった)から、やや遅れて登場したのがR420であった。

 R420は、フル構成のものが「RADEON X800 XT PE」(Premium Edition)として、これからパイプラインを多少無効化したものが「RADEON X800 Pro」としてラインナップされる。さらに、R420コアを若干高速化するとともに、若干の強化(ATIのプログラマブルシェーダー技術「SmartShader」を2.0から2.1に強化)したのが「R481」コアで、これを使った製品が「RADEON X850」ファミリーとして、2004年末から発売された。こちらもフル構成が「RADEON X850 XT PE」、パイプライン省略版が「RADEON X850 Pro」としてラインナップされたのは、RADEON X800と同じである。

RADEON X800 XT搭載カードの例

 大雑把に言えば、R400世代はこれで終わりなのだが、この時期登場したコアは、かなりいろいろある。その理由でも最大のものは、PCI Expressへの対応である。R420コアはAGPにのみ対応したもので、このままではPCI Expressが利用できない。そこで、R420コアをPCI Express対応にしたものが「R423」コアだ。これは2004年5月に、やはり「RADEON X800」シリーズとして、R420ベースのAGP対応カードと一緒に発表された。

RADEON X800のブロックダイアグラム

 もっともこのR423、当初は「ネイティブPCI Express対応」などと言われたが実際はAGP/PCI Expressブリッジを介しただけ。同じくブリッジであるNVIDIAのHSI(High-Speed Interconnect)が別チップ構成だったのに対し、R423などではオンチップでブリッジを搭載しているだけだ(これに関しては、同時期に登場した後述するRV380のダイのX線解析などで明らかにされた)。

 冷静に考えれば、当時のプロセスで両対応のインターフェースを実装するのは困難だったろうし、当時はまだPCI Expressの性能をフルに生かすプラットフォームもなかったから、これは妥当な選択といえる。ちなみにR423に、R420→R481同様の機能強化を施したのが「R480」となっている。

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