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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第82回

Twitterは日本の匿名ウェブを変えるか

2009年09月02日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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国内でも急速に広がるTwitter

 今年、日本のウェブで最大の話題はTwitterだろう。ユーザー数も急増し、今年は国内で昨年の3倍の100万人に達すると推定されている。私も半年ぐらい前にアカウントは作ったのだが、あまり使い道がないので、ほとんど休眠状態だった。今度の選挙の開票のとき、ライブドアでネットラジオ中継をすることになったので、そのために使ってみた。

Twitter

Twitterでは、ブログなどと比較しても、よりフラットな関係でコメントを交換できる部分がメリットであり、一方でトラブルの元になることもある

 その印象は、ひとことでいうと「最速のメディア」だということだ。ブログが日単位だとすると、SNSは時間単位で記事が出てくるが、Twitterは分単位で更新される。

 大部分は「昼飯に○○食った」みたいなたわいもないメッセージだが、中には重要なニュースもある。情報がどこよりも早いのが強みだ。たとえば選挙中継をやりながら、聴取者に「質問は?」と呼びかけるとTwitterで質問が出てくる。それにラジオで答えると、すぐ反応がTwitterで返ってくる。スピードが速すぎて、追いつけないぐらいだ。

 機能的には短文(140字以内)のブログだが、使ってみた感じはFacebookに近い。SNSの場合は、友人になるかどうかを個別に承認するので、せいぜい数十人程度との閉じたコミュニティだが、Twitterの場合は不特定多数が書き込み、勝手にフォローする。フォローというのは、特定の人のメッセージが自分のTwitterのホームページに出てくるように設定するものだ。承諾なしに一方的にフォローできるので、SNSよりはるかに大きなネットワークができ、私の場合は先週の初めには数人だったフォロワーが、ここ1週間で2700人を超えた。

 不特定多数が短いメッセージを送るので、2ちゃんねるみたいな感じになるかと思えば、意外に紳士的だ。1週間ほど見た感じでは、mixiのように閉じたSNSに比べれば悪口は多いが「はてなブックマーク」ほどではない。

 その原因はハンドルネームが固定され、その半分が実名になっていることだろう。特に個人のホームページを見ると、その人の過去のメッセージが一覧でき、スパムなどを出すアカウントはブロックできる。つまらないコメントを書くとフォローを切られたりブロックされたりするので、アカウントの評判を守るインセンティブが働くものと思われる。

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