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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第79回

「ケータイを読む」読書スタイルは定着するか?

2009年07月07日 16時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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本としてのケータイデザイン

 若者たちはテキストメディアから離れているわけではなく、印刷された文字から離れつつあるのだ。そんな現状に対してKDDIが提案するのは、本としてのケータイデザインだ。2009年夏モデルとして発表したのはau「biblio」。この端末の開発に携わった、KDDI株式会社 サービス・プロダクト企画本部 プロダクト企画部の繁田光平氏に、お話をうかがった。

KDDI 繁田氏

KDDI 繁田氏

 「電子書籍とウェブの違いは、縦書き、横書きといったちょっとしたフォーマットにあります。本を読んでいる感覚をケータイでいかに作っていくかという部分が、読書をケータイでする際の納得感を作ると考えました。普通の二つ折りの端末で読んでいても納得感は出てきません。本を読んでいるように見える点にこだわりました」(繁田氏)

 そこで端末の構造は折りたたみではなく、フルスライド型が採用された。スライド方向は縦ではなく横。ディスプレイをスライドさせると、シートキーが仕込まれた広いキーボード面が現れる。縦が長くて横にスライドさせて幅が出てくると、端末単体でも単行本を持っているような構え方になる。ここにブックカバーが付くため、さらに本らしい風景ができあがる。

biblioのケータイケース

文字入力の場面で端末を横長に構えると、ディスプレイだけでなく、キーボードも横長仕様になり、フルキーボードが利用可能になる

 「biblioには、ユーザーに本らしいデザインを提供する、というメッセージを強く込めました。型番も普通の数字ではなく、図書館や本屋を意味する『biblio』という名前にし、本が香る雰囲気をつけました。(ストレージも)7GBの大容量を備えて何千冊も保存できます。データフォルダをタイトル名で並び替えることができるなど、本というデジタルコンテンツを所有する感覚を作りました」(繁田氏)

 biblioのディスプレイはタッチパネルが採用され、本をなでながらページをめくることができる。ただiPhoneやそのほかのタッチパネル端末とは少し動作が違う。iPhoneでは地図でもメールでも、画面の中の紙をたぐり寄せる感覚で動かすが、biblioは画面の中に十字カーソルを再現する。

フルブラウザはOpera

ディスプレイサイズは3.5インチワイドで、解像度は480×960ドット。無線LAN機能を搭載するのも特徴で「Opera Mobile 9.5」によるフルブラウザ機能も大変便利

 下にスクロールしたい場合、iPhoneでは指を上に動かすが、biblioは指を下になぞる。どちらに先に慣れたかという違いかもしれないが、iPhoneのほうがより直感的にも感じる。ただ、これからタッチパネルを触る人にとっては、今までの十字キーの感覚でなぞれた方が使いやすい場面もあるだろう。

 ちなみにキーについては、縦長に構えているときは下半分がテンキーとして利用できるが、横長に構え直すとフルキーボードになる。フルキーボードを使っている様子は下の動画で確認してほしい。

フルキーボードタッチとブックリーダー機能を動画でチェック

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