本としてのケータイデザイン
若者たちはテキストメディアから離れているわけではなく、印刷された文字から離れつつあるのだ。そんな現状に対してKDDIが提案するのは、本としてのケータイデザインだ。2009年夏モデルとして発表したのはau「biblio」。この端末の開発に携わった、KDDI株式会社 サービス・プロダクト企画本部 プロダクト企画部の繁田光平氏に、お話をうかがった。
「電子書籍とウェブの違いは、縦書き、横書きといったちょっとしたフォーマットにあります。本を読んでいる感覚をケータイでいかに作っていくかという部分が、読書をケータイでする際の納得感を作ると考えました。普通の二つ折りの端末で読んでいても納得感は出てきません。本を読んでいるように見える点にこだわりました」(繁田氏)
そこで端末の構造は折りたたみではなく、フルスライド型が採用された。スライド方向は縦ではなく横。ディスプレイをスライドさせると、シートキーが仕込まれた広いキーボード面が現れる。縦が長くて横にスライドさせて幅が出てくると、端末単体でも単行本を持っているような構え方になる。ここにブックカバーが付くため、さらに本らしい風景ができあがる。
「biblioには、ユーザーに本らしいデザインを提供する、というメッセージを強く込めました。型番も普通の数字ではなく、図書館や本屋を意味する『biblio』という名前にし、本が香る雰囲気をつけました。(ストレージも)7GBの大容量を備えて何千冊も保存できます。データフォルダをタイトル名で並び替えることができるなど、本というデジタルコンテンツを所有する感覚を作りました」(繁田氏)
biblioのディスプレイはタッチパネルが採用され、本をなでながらページをめくることができる。ただiPhoneやそのほかのタッチパネル端末とは少し動作が違う。iPhoneでは地図でもメールでも、画面の中の紙をたぐり寄せる感覚で動かすが、biblioは画面の中に十字カーソルを再現する。
下にスクロールしたい場合、iPhoneでは指を上に動かすが、biblioは指を下になぞる。どちらに先に慣れたかという違いかもしれないが、iPhoneのほうがより直感的にも感じる。ただ、これからタッチパネルを触る人にとっては、今までの十字キーの感覚でなぞれた方が使いやすい場面もあるだろう。
ちなみにキーについては、縦長に構えているときは下半分がテンキーとして利用できるが、横長に構え直すとフルキーボードになる。フルキーボードを使っている様子は下の動画で確認してほしい。
フルキーボードタッチとブックリーダー機能を動画でチェック
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