床 売り上げがある点を超えると、スタッフのチーム力が必要になります。だけど、今までひとりで全部やってきた人は”教え下手”が多いですね。
「自分はできたのに、なぜできないんだ!」と叱ると、スタッフがどんどん辞めて、全員が入れ替わることを2、3回経験することもめずらしくありません。そこで「そうか、自分がやっていることをアルバイトでもできるように教えることが自分の仕事なんだ」と、目線を変えたときからスタッフが育ち始めます。売れている店長さんは、そこをわかっていますよ。もし店長がしなくても、リーダーやチーフが代わりにできる体制をしいています。
そのときに、たとえばメールの作成でいえば、支援ツールをうまく使うと、新人でもベテランでも同じメールを書けるようになります。業務の標準化をすることで、店のクオリティをあげられるんですね。ツールをうまく使いつつスタッフを育てる。すると、次のステージへすっと行けそうな気がします。
矢満田 売れないからと安易に値段を下げるお店がありますけど、そうすると売り上げが伸びず、ずるずると”地獄”に落ちていく気がします。売れない時期はあがくのではなく、1年を通して見た場合、売れる時期は限られているわけですから、そこに照準を定めて数カ月前から計画を立てたほうがいいと思います。
矢満田 雄介さん(株式会社サーフボード) |
床 それ、売れているショップは絶対にやっている! 年間計画を立てていますもん。
矢満田 たとえば、1年くらいの少し長いスパンを定めて、運営していくことが大切でしょう。
横山 きちんとした計画を立てて、ショップのあるべき成長曲線を描くことができれば、その曲線と実際のギャップが問題部分として浮かび上がりますね。そこを見つめることで、問題を解決するヒントもつかみやすくなると思います。やはり計画は大事ですよ。
朝日奈 でも”行きづまっているショップ”の場合は、私は3カ月のプランを立てるのが精いっぱいだと思います。1年計画が有効な場合もあると思うのですが、机上のプランになりがちだから。
矢満田 確かに、あいまいな1年計画なら具体的な3カ月計画のほうがいいという考えもありますね。
床 多くのショップは、12月の売り上げを意識しているのではないでしょうか。そこで、12月に向けて4月にどんな手を打つか、12月に向けてどんなスタッフを育てるのか? と計画するんです。
たとえば、「12月に3億売りたいから、そのためには30人のスタッフが必要。今は20人しかいないから、受注対応できるスタッフを10人増やすには、途中で辞める人を考えると15人は採用して……」のように。だいたい、そのスタートは4月に切りますね。
矢満田 スタッフの育成が入るとそれくらいの期間で見たほうがいいでしょう。イベントの実施なら3カ月計画でいいかも。
朝日奈 伸び悩んで鬱々としているときは、3カ月でケリをつけるつもりで取り組んだほうがいいでしょう。つまり、1シーズンで切り替える。
朝日奈 ゆかさん(株式会社ユンブル代表取締役) |
編集部 取り組むべき問題をもっと掘り下げて、具体化するには、どのような方法がありますか?
朝日奈 ひとつは自分で紙に書き出してみることです。人、カネ、時間について、現状をぜんぶ書いてみる。自分でするのが難しい場合は、信頼できる友人らに頼んで、話の聞きとりをしてもらうといいですよ。
当社のカウンセリングでもそうですが、クライアントさんに、わーっとしゃべってもらって、私が、がーっと書くんです。ただそれだけで、問題点や次へのテーマが見えてきたりすることはよくあります。
編集部 カウンセリングと書面化ですか。
朝日奈 書くことで問題点を整理整頓することができるんです。もやもやした悩みを具体的に文字にしていくことで、次第に問題点が浮き上がってきて次にとるべき行動が見えてきますよ。賢く鋭い友人に、「グチ聞き書きしてもらう」という方法です。突っ込みどころがきたら、「そこですよ、そこが問題!」と指摘してくれる人を見つけるんです。社内ではなくて、社外の人に頼んでください。