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人気ショップの顧客対応術

2006年12月07日 09時00分更新

文●横山 慎一郎/株式会社アイティーブースト ソリューション事業部

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 今回は、古本・中古コミック・中古CD・中古DVD・中古ゲーム 販売/買い取りの有限会社アーカム(アーカムブックス)代表の畠中様に、お客様対応術についてお話を伺いました。人気オンラインショップの店長が語るお客様対応は、現場の生の声だけあり、やはり一味違います。

 それでは早速ですが、畠中様によるお客様対応術をご参考下さい。
 こんにちはアーカムの代表 畠中と申します。

 弊社では中古本、中古CDなどを扱っているアーカムブックスを運営しており、お客様から買取した商品をクリーニング処理して販売しております。中古商品は新品商品とは大きく異なる商品特性をもっております。

 なかでも大きく異なる部分は、

  • 在庫1点ものの商品が多い
  • 同じ商品でも商品の状態が異なる

という点でしょうか。

 そうした特性からお客様からのお問合せは多岐にわたります。

 朝から晩まで商品の在庫確認、商品状態の品質確認対応の電話やメールに時間を取られっぱなしの毎日が続きました。また電話対応、メール対応内容も個々の担当者の文章力に任せきりで、とんでもなく短い文章の返信メールを送ってみたり、誤字脱字の返信メールが多数・・・^^;返信メールを作成する時間も遅く、担当者個人の修練度によりまちまちでした。

 「電話番号やメールアドレスの掲載を控えようか・・」といった後ろ向きな意見も社内から出てきましたが、それはお客様満足度の下がるサービスダウンであり、アーカムとしても、中古ECサイトとしても進んではいけない間違った方向だという結論にいたりました。

 では、このお客さんのお問い合わせ対応は継続しつつ、対応時間の短縮を図るには・・・?ECネットワーク「OSMC」の勉強会からの情報収集、またはウェブの文献を探しまくり、その結果ようやく解決法を見つけ出しました。

 現在ではお客様からのお問合せもピーク時の3分の1程度まで下がり、複数いる顧客対応担当者のメール返信処理時間もスピードアップ&均一化され大幅に業務改善に成功しました。

さて、その方法とは?

大まかに言うと2つの改善を施しました。

 一つはお客さんに電話やメールをさせないということです。どういうことかというと、前述した「電話番号やメールアドレスの記載」を辞めたわけではありません。むしろ以前より分かりやすい場所に設置しました。

ではなぜ、お問合せが減ったのでしょうか?

 それはお問合せフォームにたどり着くまでに問題が解決してしまうようにサイトを作り直したのです。それまでのサイトはお問合せフォームとFAQページ(よくある質問)が別々の場所に設置してありましたが、お問い合わせフォームのページには、必ずFAQページを通って自分の問い合わせと似かよった質問を閲覧しないとたどり着けない仕組みにしたのです。

  つまり「問い合わせするまでに問題が解決しちゃった」という風にお客さんを誘導したわけです。

 それでも「おまえのサイトの使い方が分からん!」とフォームでお問合せくださるお客様もいらっしゃいます。(もちろんウェルカムです)そのお問い合わせに対して迅速かつ、品質の安定した返信メールを送るには?という部分で考えた点ですが、そのフォームにある仕掛けをしておき、メールが入った際に簡単に担当者が返信できる仕組みを作りました。

 アーカムで使っているメール共有サービス「メールディーラー」はお客様からのメール本文を読み取り、特定のキーワードを抽出するとそれに紐付けされたテンプレート(もちろん自分で登録)を返信作業前に一覧で表示しれくれるのです。

 この機能とアイデアにより経験の浅い顧客対応担当者でも熟練のスタッフと同様のメール内容を返信できるようになり、返信内容の書き方に悩むことが少なくなりました。

 もちろん、このテンプレートでは対応できないお問合せも来ますがそれはある程度の数が溜まればデータ集計し新たなFAQとテンプレートを用意していきます。

 また、メールをテンプレートで返信することにより、「どのテンプレートで返信したのか?」というデータも当店独自の工夫で取っていますので、お問合せ内容のデータ化にも役立っています。

 こうしたメール共有ツールを利用すると、普段顧客対応をまったく経験していない経営者層にも自社サイトのお問い合わせ動向が観測でき、非常に役立っております。(私のことですが……^^)

 この2点の改善することにより、増えつづける注文数に対してお問合せに対応する時間を減らすことに成功しつつ、自社サイトのお問い合わせ分析に役立つものになりました。

 以上、アーカムブックス 畠中様によるお客様対応術でした。貴重なお話をありがとうございました!

 如何でしょうか?前回までのコラムでご紹介させていただきましたが、やはり人気ショップでは、お客様対応の効率化と共に品質管理の仕組みを実際に持っているのですね。

 皆さんのショップでもぜひ参考にされてはいかがでしょうか。

参考

OSMC オンラインショップマスターズクラブ

ご協力

有限会社アーカム代表取締役 畠中 英秋様

著者プロフィール

名前 横山 慎一郎 maildealer[アットマーク]itboost.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社アイティーブースト
サイト http://www.maildealer.jp/

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