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クレームには対応すべきか?

2006年09月13日 09時00分更新

文●横山 慎一郎/株式会社アイティーブースト ソリューション事業部

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あなたのショップは、クレームに対応すべきでしょうか?

「えっ?!そりゃーすぐに対応すべきでしょ・・・?」

はい。そのとおりです。結論は対応すべきなのですが、なぜ対応しなければならなくて、どのように対応すべきかを考えてみたことはありますでしょうか?

 じつは、ショップの成長段階によって適切なクレーム対処法は異なるのです。

 どのような製品・企業・業界にもライフサイクルというものがあります。たとえば、企業ライフサイクルでいうところの成長期に入る前の創業期は、自店舗の商品・サービスの品質を高めるために、クレームも含めてお客様の声を徹底的に集めるべき時です。

 しかし、創業期を経て成長期に入ったショップでは、取るべきクレーム対応方針が成長期に入る前のショップとは異なります。この時期は何もしなくてもお客様が急激に増えるため、経営の優先順位から言うと、顧客満足度よりも商品をお客様にお届けすることが優先します。急激に増え続けるお客様に対応するために、必要以上のクレームをショップの側から積極的に聞くことは適切ではありません。

 急成長中のショップにとっての一番のクレーム対応策は、不必要なクレームを受けないしくみをつくることです。たとえば、アマゾンにメールでクレームを告げるためには、サイトのかなり深い階層まで進んでいかなくてはなりません。ましてや電話の窓口を見つけることは、ほぼ不可能だと思われます。

どうしてそれが必要なのでしょうか?

 例として、スーパーのレジに長蛇の列ができているとします。そのときお客様の列にクレーマーがいたら、後ろに並んでいるお客様全員が迷惑しますよね?一人のクレーマーのために多くのお客様を失うのです。だから成長期にある企業に於いては、不必要なクレームを聞いてはならないのです。お客様の列が長い企業ほどクレームに対応することで大きな損失を出していると言えるのです。

 しかし、成熟期に入ったショップでは、クレーム対応は非常に重要になります。どのような商品や事業でも成長期を過ぎると業績は必ず落ちるものです。あなたのショップがそこに到達したら、クレームを徹底的に聞き始めるべきです。お客様のクレームに真摯に耳を傾けることによって、新たな商品やサービスの開発に生かできるからです。このときクレームは宝になるのです。

では、以上の内容をネットショップ業界に当てはめて考えてみましょう。

今のネットショップ業界は、創成期でしょうか?成長期でしょうか?それとも、成熟期でしょうか?

 いわゆる電子商取引の市場規模は年々拡大している傾向にありますが、殊、ネットショップ業界では、多くのショップが新しい商品・サービスの取り扱いに躍起になっており、もともと自店舗で扱っていた商品だけでは勝負できなくなっている状況が見てとれます。これは、既に業界が成熟期に入ったことを示すひとつの兆候ではないでしょうか。

 また、何もしなくてもお客様が増えていくようなショップは殆ど存在しない現状からも、ネットショップ業界が成熟期に入ったといえるのではないかと思われます。

 ということは、仮にあなたのショップがオープンしたばかりであっても既に成熟しつつある業界に参入したわけですから、クレームに素早く対応するのはもちろんのこと、日頃からお客様の声に徹底的に耳を傾けることが求められているのです。

 そして、お客様の声を元に自店舗の商品開発や業務改善をはかり、継続的に他店との差別化をはかることが、あなたのショップの存続をより確実なものとしてくれるのです。

著者プロフィール

名前 横山 慎一郎 maildealer[アットマーク]itboost.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社アイティーブースト
サイト http://www.maildealer.jp/

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