前回、実際に鳥をキヤノンEF100-400mm F4.5-5.6L IS USMとシグマAPO 120-400mm F4.5-5.6 DG OS HSMで撮り比べて、その操作感や描写力などをテストした。ひと通り使ってみた感じではシグマの製品に心が傾きかけているが、そのほかのシチュエーションでの使い勝手はどうなのだろうか。
今回考えた比較項目は「マクロ撮影」、「通常撮影」、「周辺光量」、「発色傾向」の4つ。さらに「手ブレ機能」の比較も結果のみお伝えしていこう。
撮影画質の比較は下記の条件で行なった。
メインのカメラボディは、1280万画素のフルサイズ撮像素子を搭載したキヤノン「EOS 5D」、サブとして1510万画素のAPS-Cサイズの撮像素子を搭載したキヤノン「EOS 50D」の2台を用意した。周辺光量落ちなどのチェックを行なうためにはAPS-C機では力不足だったからだ。
全サンプルでレンズ補正機能をオフに固定。カメラを三脚に設置し、レリーズ・ケーブルでシャッターを切っている。撮影サンプルは筆者がF値で1EVごとにバラして撮影した。
念のため、フルサイズ撮像素子搭載機とAPS-C撮像素子搭載機を同じレンズで撮影した場合の差が分かるサンプルも下に掲載しておく。これら4枚の写真を見れば分かるが、APS-C撮像素子搭載機ではフルサイズ撮像素子搭載機の半分程度のイメージサークルしか利用していない。レンズの「スイート・スポット」のみ使用という表現もできるが、この結果を見ていると、「同じレンズでもAPS-Cのデジタル一眼レフなら画角が焦点距離換算で1.5~1.7倍になる!」と喜んでいて良いモノだろうかと考えてしまう。
被写界深度がシビアな問題となる野鳥などの撮影でないなら、やはりフルサイズデジタル一眼レフには「当たり前の素晴らしさ」がある。例えば、フルサイズデジタル一眼レフの場合、レンズを変えてファインダーを覗いたときに「差」が分かり易いと思う。実際、キヤノンEOS 5Dに装着してファインダーから見える像が気持ちがよいレンズであれば、かなりの確率で満足できる撮影結果が得られるはずだ。
EF100-400mm F4.5-5.6L IS USMで撮影
APO 120-400mm F4.5-5.6 DG OS HSMで撮影
すべて焦点距離400mmのテレ端で撮影。キヤノンEOS 5Dで撮影すると、キヤノンよりもシグマのレンズの方が画角がやや狭い様に感じられる。逆に、キヤノンEOS 50Dで撮影すると、シグマよりキヤノンのレンズの方が画角がやや狭い様に感じられる。最初は操作を間違えたかと思ったが、EXIF情報によってズーム位置はすべてテレ端であることが確認できた。
強い春風の中でレンズ交換を繰り返した関係で、一部のサンプルにローパスフィルター上のゴミが写っている点はあらかじめ謝罪しておく。それでは、以上の条件で行なった実験の比較結果を紹介していこう。
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