【比較4】周辺光量
空を背景にして桜を撮影して、周辺光量落ちをチェックしてみた。また、ちょうど月が見えていたので、背景の中に取り入れてみた。意外にもF値によって、月の描写は予想以上に変化した。野鳥撮影ではあれほどの高性能ぶりを見せつけたシグマだが、周辺光量落ちなどのレンズの基礎体力的な部分ではキヤノン製に一歩譲るようだ。少々意外ではあるが、考えてみれば実売価格に200%という開きがあるのだから当然と言えば当然かも知れない。
●テレ端
どちらも周辺光量落ち発生
ただし……
F5.6(開放)ではキヤノンもシグマも共に周辺光量落ちが出ている。F5.6ではキヤノンよりもシグマの方が激しく表れているが、F8(1EV絞り)のあたりで同等になり、F11で逆転している。いずれのレンズもF11(2EV絞り)のあたりまで、中央までかかるニゴリの様な陰が表れている。
キヤノンは中央部への影響が少ないなど、徹底的に光量落ちを排除するべく努力をした跡が見られる。ただし、陰の出方の強弱が激しいので目立ってしまう。一方、シグマは中央を含む広域に影響が出ているが、階調がなだらかなのであまり目立たない。しかし、F値やシャッター速度を同じ設定で撮影しても、シグマの方が暗く写っているのが気になる。
なお、APS-C撮像素子デジタル一眼レフレベルの話ならば、F8くらいまで絞れば周辺光量落ちを気にせず撮影できるだろう。
●ワイド端
ワイドでは周辺光量落ちが発生するも
F8あたりで解消に向かう
F4.5(開放)ではキヤノンのシグマも共に周辺光量落ちが出ている。また、いずれもF8(2EV絞り)のあたりで解消されている。キヤノンはシグマに対して周辺光量落ちが強く、さらに四隅ではかなり強く出ている。いずれのレンズも、基本的にテレ端と同じ傾向の描写性を見せている。
F4.5(開放)では、ボケの中でもシグマの方が月の存在がハッキリと出ている。F16付近ではシグマの方が月の輪郭がハッキリと出ている。マクロ領域ではあれほどにボケの強かったシグマだが、この状態では強調したかった月の描写に輪郭を与えてくれている。この差はボケではなくコントラストの差なのかも知れない。
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