本連載では、歴史を変えたネットワーク機器を紹介する。第2回は1997年に登場したNTT-MEの「MN128-SOHO」を紹介する。ISDNルータのはしりとなった同製品は、ルータを大衆化し、ISDNの普及にも大きく貢献した。
ISDN+インターネットがスタート
MN128 SOHO 登場前史
ADSLや光ファイバなどを用いたブロードバンドが普及する以前、インターネット接続回線として一般的に用いられていたのがISDN(Integrated Services Digital Network 総合ディジタル通信網サービス)である。ISDNは名前の通り、電話機から交換機までをフルデジタル化した高品質な回線サービスを指し、日本ではNTT(当時)が1988年に「INSネット64」「INSネット1500」というサービス名でスタートした。
1990年代にはPCやアナログ機器からISDNを使うためのTA(Terminal Adaptor)が登場し、64kbpsの通信速度を実現する高速なインターネット接続が可能になった。しかし、当時TAやISDNの接続に必要なDSU(Digital Service Unit)は高価であり、なかなか普及しなかったのが実態だったのだ。
こうした状況を変えたのが、NTT-TE東京(現NTT-ME)のTA「MN128」だ。MN128はNTT-TE 東京が、ISDN製品の開発で高い実績を誇る北海道のビー・ユー・ジー(BUG)と共同開発した戦略的な低価格TAである。
1995年12月に発売されたMN128は、Windows 95の発売やインターネットの普及、さらにDSUとのパック販売などを追い風に爆発的に売れた。
次ページ、「7万円で購入できる「MN128-SOHO」登場」へ続く
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