歴史を変えたネットワーク機器の最終回は、2000年代にブレイクしたレイヤ3スイッチの代表格ともいえるエクストリーム ネットワークスの「Summitシリーズ」である。ギガビットEthernet普及の立役者でもあるエクストリームの軌跡を追っていこう。
LANのボトルネックを解消する レイヤ3スイッチ
1990年代、企業のLANを実現するための伝送規格は、高速な伝送が可能でありながら、低廉な価格を実現したEthernetが一気に標準となった。そして、1990年代も後半になると、スイッチングハブの低価格化とともに10Mbps から100Mbps Ethernetへの移行が本格化した。
こうしたネットワークの高速化において、もっとも大きな障壁となっていたのが、ルータの処理能力だ。パケット単位のルーティング処理能力が高くなければ、せっかく大容量化したEthernetの伝送能力を活かしきれない。しかし、汎用CPUとソフトウェアをベースにした当時のルータの処理にはおのずと限界があった。これを解消するために1990年初頭に生まれたのが、ルーティング処理をASICという専用チップに行なわせることで、高速化を図ったレイヤ3スイッチである。
レイヤ3スイッチでは、宛先が同じパケットの固まりをフローと捉え、最初のパケットの経路を汎用CPU+ソフトウェアで決定した後は、ASICで文字通り機械的に転送する。こうした仕組みにより、CPU+ソフトウェアのレガシールータを凌駕する高速な転送処理を実現した。
とはいえ、登場当初レイヤ3スイッチはきわめて高価な装置であり、ベンダーもシスコシステムズやスリーコムなどに限られていた。そのため、予算の確保されている大企業以外はなかなか導入できるものではなかった。また、ギガビットEthernetが登場してくると、より高い処理能力が求められるようになった。1999年には引き回しの容易な銅線を用いた1Gbps Ethernet規格「1000BASE-T」が登場した。しかし、ギガビットを遅延なく処理できるスイッチはなかなか実現しなかった。
こうした中、キラ星のごとく現れたのがエクストリーム ネットワークスのレイヤ3スイッチである。
(次ページ、低廉なコストでギガビットのワイヤスピードを!)
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