ウクレレとKORG DS-10、KAOSSILATORの共通点とは?
ネットとパソコンに最適化された最新の音楽装置――。
などと聞くと、デジタルテクノロジーずれした我々は、つい「マルチタッチスクリーンに3Dオブジェクトを配置し、映像や音を指先で自在にリミックス」といったものを思い浮かべがちだ。実際、そういうものが身近にあったら面白いに違いないのだが、今のところそれはウクレレではないかと私は思うのだ。
つじあやの、ジェイク・シマブクロ、牧伸二、ウクレレえいじ……。唐突にウクレレと言われて思い浮かべるものは人それぞれだろうが、いずれにしてもデジタル的なイメージとは程遠い。電子楽器というより原始楽器。なにしろ大抵のウクレレは木でできているし、電気も通っていない。ハワイの民族楽器と言ってもいい超アナログな楽器だ。
だが、この木片の寄せ集めでしかないような楽器が、実は最先端を走っているのではないか。そう思い始めたのは、YouTubeで伴奏に使われている様子を見てからだ。少なくともYouTube以前に、私はこんなにウクレレを弾く人たちを観たことがない。
その代表がアメリカのJulia Nunes(ジュリア・ヌーネス)だ。Esmee Denters(YouTubeで初めてブレイクしたオランダの女の子。詳しくは第1回記事参照)同様、彼女はYouTubeでブレイクしたティーンエイジャーの代表でもある。
動画再生回数は100万を超え、2008年に開催されたYouTube初の音楽祭「YouTube Live」にも出演。最近はロックミュージシャンBen Foldsともステージで競演したようだ。オリジナルアルバム「Left Right Wrong」と「I Wrote These」はiTunesでも配信されている。
実は他にもウクレレ動画は大量に上がっていて、特に多いのが10代後半から20代にかけての女子なのだ。私は彼女たちを何の工夫もなく「ウクレレ娘」と総称しているのだが、なぜ女子なのか? そもそもなぜ動画サイトでウクレレなのか?
学研「テルミンmini」「SX-150」、コルグ「KAOSSILATOR」、ニンテンドーDS用「KORG DS-10」、復刻版のミニチュアオルガン「Stylophone」、そしてiPhone/iPod touch向けの楽器系アプリ。意外なことに、動画サイトで人気のこれらモバイル楽器ガジェットとウクレレは、まったく同じ特徴を持っていたのだ。
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