「中の人」さえ入れ換え可能な、新しいボカロの可能性「UTAU」
VOCALOIDを使った歌唱ソフトは、ご存知の通り「中の人」によって音声キャラクターが変わってくる。
クリプトン・フューチャー・メディアのキャラクター・ボーカル・シリーズなら「初音ミク」が藤田咲、「鏡音リン・レン」が下田麻美、「巡音ルカ」は浅川悠が「中の人」だ。プロの声優さんの音声素材で歌唱合成するのがこのシリーズのセールスポイントでもある。
もしその音声素材を自分で作り、歌声合成をしてくれるソフトがあったらどうだろう? たとえば自分や友達の声を「中の人」にして、その声で好きな曲が作れるというソフトが。
それがニコニコ動画から生まれた「UTAU」という歌声合成ツールだ。作者はVOCALOID楽曲のクリエイター「飴屋P」として知られる飴屋/菖蒲(あめや・あやめ)さん。VOCALOIDとの一番の違いは、自前の音声素材が使えるフリーソフトであることだ。
ピアノロール式のシーケンサ画面にオブジェクトを置き、発声文字を書き込むところは、VOCALOIDエディターとよく似ている。1音ずつピッチやエンベロープを設定できるので細かい調整ができるのもいい。
用意する素材は「あ」「い」「う」「え」「お」……と音素別に1つずつ録音したWAVファイル。それに子音の長さなどを設定し、音源として使えるものに仕立てていくわけだ。
「一から音源を作るのは面倒くさいよなあ」という場合は、すでに公開されている音源が沢山あるのでそこから選んでいけばいい。音源の制作者によって頒布条件は異なるが、基本的にはフリーで使える。
そのフリー音源の1つが「重音テト」(かさねてと)。2008年のエイプリルフールに「初音ミク、鏡音リン・レンに次ぐ第3弾!」というネタのため、有志が開発した音源だ。その誕生の経緯を曲にしたtelminさんの「嘘の歌姫」も人気を呼んだ。
音源は他にも「和音マコ」「桃音モモ」「雪歌ユフ」「朱雀っぽいど」「穂歌サラ」などなど、挙げればキリがないほど沢山ある。詳しくはWikiページ「UTAU ユーザー互助会@ ウィキ」にリストが載っているので、それを参考に試してみると楽しい。

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