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インタラクティブ・インテリジェンスはオールインワン型で勝負

進化したIPコンタクトセンターの姿

2009年04月28日 09時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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コールセンターというと「ヘッドセットをした女性のオペレータが、電話でサポートや商品説明してくれるもの」といったイメージがある。こうしたオペレータの業務風景は昔も今も変わらないが、アプリケーションやバックエンドのシステムは大きく変わっている。インタラクティブ・インテリジェンス・インクに最新のコールセンター事情について聞いた。

「顧客重視」で成長するコンタクトセンター

 まずはコンタクトセンターの歴史について簡単におさらいしておこう。1995年以前、企業が顧客からの問い合わせる専門の窓口は「テレフォンセンター」などと呼ばれており、その後いわゆる「コールセンター」という用語が登場する。これは「顧客満足度(CS)重視」というビジネスの流れから生まれた進化したテレフォンセンターを指し、技術的にはコンピュータと電話を融合する取り組みが行なわれた。

テレフォニーセンターから、コンタクトセンターへの流れ

 たとえば、電話番号から顧客のデータベースを検索し、自動的に過去の問い合わせ履歴を調べたり、あるいは顧客自らが音声ガイドに合わせて通話相手や情報を選択したり(IVR:Interactive Voice Response 音声自動応答)、問い合わせに合わせてコールを振り分ける(ACD:Automatic Call Distributor)機能である。そして、こうした機能を実現するためのコンピュータやデータベース、電話系システムの融合を「CTI(Computer Telephony Integration)」と呼んだりする。コールセンターやCTIはある意味、当時のITのブームの用語であり、多くの企業がこぞって導入を進めた。

 その後、ブロードバンドの到来とともにWebとの連携やIP化が進み、現在では「コンタクトセンター」という名称が一般的となっている。矢野経済研究所の調べによると、2006年から2010年までのコンタクトセンター市場は年率約7.2%と予想されており、堅調に伸びる市場と考えてよいだろう。

 現在のコンタクトセンターは、電話だけではなく、メール、Web、チャット、FAXなど複数の手段を用いて、顧客とコンタクトをとる手段として提供されている。利用されている業種も幅広く、顧客の注文や問い合わせに対応するインバウンド(受信)業務だけではなく、セールスや請求用途で送信を行なうアウトバウンド(送信)業務にも用いられる。

インタラクティブ・インテリジェンスの製品とは?

 こうしたコンタクトセンターを実現するソフトウェア製品を提供するのが、今回紹介するインタラクティブ・インテリジェンス・インクである。

 同社は米国インディアナポリスのソフトウェア会社で、1997年にコンタクトセンター用のソフトウェアのライセンス販売を開始。同社の「Customer Interaction Center」は、全世界で3000社以上の納入実績を誇っているという。

インタラクティブ・インテリジェンスのオペレータ向け「Interaction Client」。もちろん日本語化されている。

 こうしたコンタクトセンターを実現するための製品としては、従来PBX/IP-PBXを延長したハードウェア型の製品が多かったが、Customer Interaction Centerは前述した通り、ソフトウェアで提供する。ソフトウェアであるが故に、小規模からエンタープライズまで柔軟に拡張できる。日本などでは50席未満の中小規模のコールセンターが50%以上を占めており、安価なIAサーバを使って、スモールスタートできるというのは大きなメリットといえる。オプションとして、専用ダイヤラのほか、録音アプリ、SIPゲートウェイなども用意されており、必要な分だけ追加することが可能だ。

 Customer Interaction Centerの特徴としては、ほとんどの機能をオールインワンで提供する点が挙げられる。IPベースのPBXやACD、IVRはもちろんメールやFAX、IMなどを統合したユニファイドメッセージ、通話録音やアウトバウンド業務、オペレータのスケジュールや出退勤を管理するWFM(Work Flow Management)まで搭載し、1つの管理ツールから扱える。さらに、SIPやXML、SOAPなどの標準技術を搭載することで、他の製品との連携も採りやすくなっているという。

 面白いのが、Customer Interaction Centerは、コンタクトセンターのみを狙っているのではなく、社内での情報共有もターゲットに入れているところ。コンタクトセンターを実現しようと考えると、同僚や上司などとツールを介したリアルタイムなコミュニケーションが必要になる。そのため、ユニファイドメッセージングのような仕組みも搭載しているのだが、これを社内の情報共有に使うというものだ。

 最新バージョンは3.0だが、近々に4.0も予定されている。米国ではCaaS(Communication as a Service)と銘打ったSaaS形態での提供もあるという。今後はメールやWebによる自動アンケートや専用のハードフォンの提供、監視ツールの拡充なども予定している。

 日本でも2008年にコンタクトセンター市場に本格進出。岩崎通信機、伊藤忠テクノソリューションズ、豊通システム、JALインフォテックなどが正規代理店として製品を扱っている。先頃インタラクティブ・インテリジェントが都内に開設したトレーニングセンターでは、販売代理店やユーザーの教習などが随時行なわれているという。

新設されたトレーニングセンターではさまざまなIP電話機が置かれ、研修が行なわれている

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