東芝がついに、Netbookに本腰を入れる。2008年に「NB100」(関連記事)で市場参入をはたしたものの、当時はあくまで「dynabookとは別のもの」と、はっきり「メインの市場ではない」と断言した上での市場投入だった。
それから約半年。今度は「dynabook UX」を持って、「dynabookブランド」で正面からNetbookに挑む。しかもボディーは完全新規設計。dynabookブランドで新生した東芝のNetbookの価値はどのようなところにあるのか、早速チェックしてみよう。
オリジナルデザインで「dynabook」として再スタート
dynabook UX最大の特徴は、やはり「ボディーデザイン」だろう。NB100はそれほどコストをかけたとは思えない、簡素で見るところのないデザインであったが、UXはまったく逆である。日本の「dynabook開発チーム」がデザインした、クオリティーの高い新規設計のボディーが採用されている。
天板は斜めのストライプが入った、独特の加工が施されている。このところ、「高級感のあるパソコンといえば光沢仕上げ」といった機種が多かったが、UXはまったく違う仕上げを持ち込んでいる。手に持っても滑ることがなく、光沢仕上げと違って指紋や汚れが目立つこともない。「長く使うと埃などが溝に入って、汚れてくるかも」とは思うが、ひどくなる前に拭き取ればすむ話なので、さほど問題にはならないだろう。
今回試用したのは「スノーホワイト」モデルだが、もうひとつ茶色系の「サテンブラウン」というカラーリングのモデルも存在する。どちらの色もメタリックな光沢感を備えている。特にサテンブラウンは「茶」というより「銅」といった方がしっくりくる。どちらも質感はよく、好みで選んでも失敗はしない。2色の天板に対して、キーボードや本体下部は、どちらも同じシルバーのプラスチックで作られている。
キーボードは流行?のアイソレーションタイプ
キーボードはアップルやソニーの製品でよく見られる「アイソレーションタイプ」と呼ばれるものを採用する。おそらく、東芝製品としては初の試みではないだろうか。フットプリントがNetbookとしては大きめになっているためか、キーもかなり大型になっている。横幅は19mmと、一般的なノートパソコンとほぼ同様のサイズになっている。TabキーやCtrlキーなど、端のキーが小さいのは気になるが、配置そのものに不満はほとんど感じない。「打ちやすさ」「ミスタッチの少なさ」ではトップクラスといっていい。
ただし、キータッチはさほど良いわけではない。他社のアイソレーションタイプのキーボードは、ストロークが浅めで、キーにぐらつきを感じにくいものが多いのだが、UXのキーはストロークが深めなうえに、キーにぐらつきを感じる。感触に慣れるまでは、気持ちいい打鍵感とは言えないだろう。
他方、美点といえるのが、タッチパッドの使いやすさだ。Netbookはサイズの問題からか、タッチパッドが妙に使いづらい機種が多い。しかしUXは、一般のノートパソコンとまったく同じ感覚で使える。おそらくは、フットプリントを大型化したことにより、余裕が生まれたからだろう。「まともに使えるタッチパッドの搭載くらいは当然」と言いたいところなのだが、そうでないのが今のNetbook市場の現実でもある。
独特の質感とアイソレーションキーボードの組み合わせから、dynabook UXは他社のNetbookにない「オリジナリティーの演出」に成功している。東芝がこの製品に賭ける意気込みが感じられる出来である。
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