とうとう、国内の大手PCメーカーがNetbookに参入した。9月29日に東芝が発表した「NB100」(関連記事)は、価格こそ少々高めであるものの、仕様的にもデザイン的にも、まさしく「Netbook」そのものだ。
他社がいまだ沈黙を守る中、東芝がNetbookに参入した理由はなんなのだろうか? そして東芝の考える「Netbookの設計」とはどんなものなのか? 商品企画担当者に話を聞いた。そこからNetbookの真実が見えてくる。
Netbookなしでは「ノートPCメーカー」を名乗れない!?
東芝のPC製品の商品企画全般を担当する、PC第一事業部 参事の荻野孝広氏はこう話す。
「NB100は、『dynabook』でも『Qosmio』でも、さらにいえば『libretto』でもない。別の名称である、というところに意味があります」(荻野氏)
Netbookはそのサイズと重さから、B5以下の軽量モバイルノートやUMPCと混同して語られがちだ。本連載でも「小型PC」という観点で、それらを並列に紹介している。
だが東芝は、Netbookに参入する上で、それらの「モバイル機器」と「Netbook」を、ある程度違う市場ととらえている。
「ノートPCとして、カテゴリやサイズなどいろいろな製品をやってきました。Netbookに関しても、慎重に検討を進めていましたが、5万円程度の低価格な小型PCというのは、我々がアプローチしていたジャンルではない、と思っていました」(荻野氏)
では、東芝が日本で考える「Netbookのユーザー層」とはなんなのか? 荻野氏は、「中上級者で、安く2台目を探している層」と話す。
「低価格なだけなら、A4クラスのノートパソコンにもあります。実際他社製品ならば、7万円で買えるものもありますよね。弊社の場合、それらの市場にはdynabookのAXやTXでお答えしてきた、しかしNetbookの場合、それらとまったく同じことができるわけではない。例えば『年賀状を作りたい』といった層にはお勧めしかねます。我々が考えるNetbookの用途は、メールやネットに特化したところ。第一の優先事項がコストパフォーマンス、そしてその次がコンパクトさ、という商品がNB100と考えます」(荻野氏)
つまり、「携帯電話ユーザーが移行するためのファーストPC」に位置付けてはいない、ということである。
低価格な製品はそもそも利益率が低く、うまみが少ない。しかも、PCを低価格に作るとなると、差別化できる技術を入れるのは難しい。東芝のようなメーカーにとっては不利だ。
それでも参入を決めた理由はなにか? それは、「ノートの東芝、としての自負」だと荻野氏は言う。
「全世界でさまざまなノートPCを販売するメーカーとして、なにかしら選んでいただけるラインナップがなければ、という判断です。極めて小さな市場規模であれば、参入しないという判断もあります。ですが、どうやらそれなりの規模がありそうだ。ならばやろう、となったわけです」(荻野氏)
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