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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第21回

美しき超薄型ノートAdamoの○と×

2009年04月08日 16時00分更新

文● 西田 宗千佳

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使い勝手には大きな「?」マーク
キーボードもディスプレーも要改善

 Adamoはデルが自信をもってアピールするように、非常にデザイン的な配慮が行き届いた製品である。取り出して机の上に置いてみると、思わず感嘆の声を上げてしまうほど美しい。

 ところが、「ノートパソコンとしての実力」を考えると、いろいろと気にかかる部分が多いのも事実である。

 まず第1に「重さ」。非常に薄いパソコンなのだが、意外なほど重い。質量は約1.8kgと、「モバイルノート」として使うには少々厳しいレベルだ。しかもこの重量は、「光学ドライブを内蔵できない本体のみ」の重量である。

 モバイルノートには薄さや軽さを重視するために、光学ドライブを搭載しない例も珍しくない。だが、Adamoは決して軽くも小さくもない。薄いのは事実だが、現在はこの薄さに入る光学ドライブも存在しており、搭載が不可能とは思えない。おそらく、「ソリッドなデザインと剛性」を重視したために、搭載を見送ったのだろう。

 Netbookにも光学ドライブは搭載されていないし、USBでの外付けは可能なので、実用上の問題は低いかも知れない。しかし「デザインを美しくするために光学ドライブを省いて重くなる」というのは、ちょっと理解しがたいトレードオフではないか。

本体背面

デザインを優先してポート類をすべて背面に回してしまったため、機器の付け外しは面倒になった

 しかも、USB端子が「すべて後ろ」に集まっている、というのが、さらにやっかいな問題となる。機器の接続や取り外しが面倒なうえに、ケーブルが短めな機器の場合、非常に使いづらい。例えばイー・モバイルのUSBモデムを使うと、天板とぶつかる場合もある。本体の形状から来る制約により、ディスプレー面は水平に近いところまでは倒れず、45度くらいの位置で停止する。そのため、「機器との干渉」はさほど深刻なものにはならないのが救いではあるが……。

 もうひとつ、使ってみて非常にイライラしたのが「キーボード」だ。

 タッチ感そのものは、さほど悪いとは思わない。デスクトップ的な「ストロークが深くて押した感のある」キーボードではなく、最近のノートパソコンに多い、「ストロークが浅めで、軽い力で打てる」タイプのものだ。キー自身のサイズも大きめで、打ちやすい。異常なまでに堅牢な「ボディー剛性」の賜物か、強く打ってもまったくたわみを感じない点も好印象である。これが一番何のキーボードに近いかといえば、アップルの「MacBook」のキーボードだろう。ただし、打鍵音はかなり大きめなので、図書館などでの利用は控えた方が良さそうだ。

Adamoのキーボード

再びキーボード部。Enterの右横にもキーがあり、慣れの問題ではあるが、ミスタイプしやすい

キーボード裏にはLEDバックライトが内蔵

ちなみに、キーボード裏にはLEDバックライトが内蔵されている

 問題なのは「配列」である。Enterキーの右側に1列キーがあるため、非常にタイプミスしやすいのだ。キーサイズが大きいので、ホームポジションに指を置いてタイプする分には問題ない。しかし、カジュアルにウェブを見ている時など、指をいったんホームポジションから外している場合には、特に「Backspace」と「Home」のミスタイプが頻発した。この2つが「横に並び、しかもサイズがまったく同じ」であることが原因だろう。せめてBackspaceの表面に小さな突起でもあれば、ずいぶんマシになるのだが……。

 キーボードと同様に気になったのが、ディスプレーの品質だ。輝度そのものは高く、発色も悪くないのだが、黒の締まりがなく、全体的にコントラストが低い。また上下の視野角も狭く、画質が良好とはいえない。写真よりも文字表示に向いたディスプレー、という印象だ。表面の光沢処理も強めで、映り込みも目立つ。

 ただし、「バックライトの自動調光機能」は非常に便利だと感じた。この機能自体は珍しいものではないが、特にモバイルノートでは便利な機能のひとつである。Fnキーと「F4」「F5」キーの組み合わせで、手動での調光もできるが、ほとんどの場合は利用する必要はないだろう。

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