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公衆無線LANサービス戦争開幕!?

公衆無線LANサービス戦争開幕!?

2005年08月25日 09時10分更新

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 それでは最近のニュースの中から、公衆無線LANサービスに関する話題をピックアップしてみよう。と言っても“公衆無線LAN”の言葉が記載されたすべての記事を取り上げることもできないので、今後の公衆無線LANサービスの動向や技術に関して重要と思われる話題を取り上げたい。まずは公衆無線LANサービスという言葉そのものを、広く知らしめることになった(株)ライブドアの“livedoor wireless”(コード名 D-Cubic)に関する話題から。

“月額525円”で殴り込みをかける
ライブドア“livedoor wireless”

6月の発表会でサービスについて説明する、ライブドア代表取締役社長の堀江貴文氏
6月の発表会でサービスについて説明する、ライブドア代表取締役社長の堀江貴文氏

 低価格で山手線内部地域すべてをカーバーする公衆無線LANサービスを提供する、それがライブドアの“livedoor Wireless”である。正式サービス開始は10月を予定しているが、すでに都内の一部地域で無料の試験サービスが始まっており、ライブドア本社がある六本木ヒルズ周辺と、新宿区の一部地域(新大久保や高田馬場周辺など)で、同サービスを体験することができる(対応エリアはこちら)。

 現在施行されている公衆無線LANサービスのほとんどは、“点”の規模にすぎないサービスエリアの集合体と言える。それに対してlivedoor Wirelessは、正式サービス開始時で山手線圏内の80%、2006年末までに1都6県という広い範囲で自由に無線LANサービスを利用できる点が売りとなっている。無線LANアクセスポイントからインターネットへのアクセス回線は(株)パワードコムのFTTH回線を利用。無線LANアクセスポイントは電柱を中心に設置していく。



livedoor wirelessで使用される予定の屋外設置型無線LANアクセスポイント。電柱に設置するため防水仕様である
livedoor wirelessで使用される予定の屋外設置型無線LANアクセスポイント。電柱に設置するため防水仕様である

 大胆な価格設定も特徴である。livedoorポータル内にあるニュース、地図、路線案内を閲覧するだけなら無料(フリートライアル)。メールを利用したり、ライブドア以外のウェブサイトを見る場合でも、月額525円と既存サービスの1/3~1/4程度の低料金となっている。料金の支払いは“livedoorウォレット”と呼ばれるクレジットカード決済を利用する(正式サービス開始時には“bitキャッシュ”にも対応予定)。試験サービス期間中は無料で提供され、有償サービスと同等のサービスを受けられる。

 livedoor Wirelessを利用するためには、あらかじめライブドアのウェブサイトで“livedoor ID”を取得しておく必要がある。対応する通信方式はIEEE 802.11b/g。干渉の多い2.4GHz帯の周波数帯を利用する点や、予定されている2200ヵ所のアクセスポイントだけで、山手線内の全域をカバーできるのかという疑問点はあるが、広範囲な屋外を無線LAN接続可能なエリアにしてしまおうという発想は画期的で、利便性は高いと考えられる。月額525円という価格の安さも画期的だ。今後の展開を期待したいサービスである。



NTT系サービスの再編に、
ソフトバンクBBも商用サービスへ移行

 ライブドアの発表でにわかに脚光を浴び始めた公衆無線LANサービスだが、すでに公衆無線LANサービスを手がけている大手ISP各社も、強力なライバルの登場に合わせてサービスの改訂や商用化に乗り出しつつある。

 2002年5月にソフトバンクグループ3社が日本マクドナルド(株)などの協力を得て開始した“Yahoo! BBモバイル”は、飲食店やホテルといった人の集まるスポットを中心にアクセスポイントを展開していた。6月末時点では、国内682の施設にてサービスを展開している。試験サービスとして無料でサービス展開を続けていたYahoo! BBモバイルだが、7月1日にソフトバンクBB(株)は、“試験サービスを10月2日で終了し、商用サービスに移行する”との発表を行なった。サービス内容は基本的に現状の試験サービスを引き継ぐ予定とのこと。料金の詳細等は未発表だが、価格破壊でADSLの低価格化に貢献した同グループのことだけに、低料金でのサービスに期待したいところだ。

2002年5月に、マクドナルド店舗でのYahoo! BBモバイル提供を発表した時のソフトバンクグループ会長の孫正義氏と、日本マクドナルド代表取締役社長兼COO(当時)の八木康行氏
2002年5月に、マクドナルド店舗でのYahoo! BBモバイル提供を発表した時のソフトバンクグループ会長の孫正義氏と、日本マクドナルド代表取締役社長兼COO(当時)の八木康行氏

 NTT東西や(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(株)(NTTBP)などのNTTグループは、各社がそれぞれ別個に公衆無線LANサービスを展開していた。そのためグループ会社間での相互接続ができず、利便性という面ではいささかもったいない状況にあったのは事実である。しかし強力なライバルの登場を受けてか、7月12日にはNTTBPが東日本電信電話(株)と西日本電信電話(株)、NTTドコモの各社が提供する共用無線LAN基地局を譲り受け、運用を行なうことを発表した。これにより、グループ各社が共通でサービスを展開する地域に、効率的で迅速なアクセスポイント展開が可能になるとしている。具体的に発表されているわけではないが、あるいは将来の各社によるサービスの相互乗り入れや、サービス統合に道を開く可能性もあるかもしれない。

 またこれにともない、NTTBPがサービスする“無線LAN倶楽部”は、12月をめどにサービスを終了することになった。経営資源をアクセスポイント構築と運用に集中するためとのことだが、先のアンケートでも無線LAN倶楽部の終了を惜しむ声が聞かれた。

 そのほかにもNTTBPは7月14日に、インテル(株)や首都圏新都市鉄道(株)と共同で、8月24日に開業予定の“つくばエクスプレス”の列車内や駅構内で公衆無線LANサービスのインフラ整備と試験提供を行なうと発表した。NTT東日本の““フレッツスポット”“M フレッツメイト フレッツ・スポット併用タイプ”や、NTTドコモの“MZone”が利用可能になる予定で、最高時速130kmで移動する列車内からでもシームレスに無線LAN接続を維持できる“シームレスハンドオーバー技術”を導入するという。次ページでも触れるが、インテルはパソコンの使用法を広げるものとして、公衆無線LANサービスの拡充に非常に力を入れている。またつくば市にはインテルの日本法人本社やラボがあり、公衆無線LANサービスの便利さを広く周知するためにも、積極的な支援をしていくということのようだ。

つくばエクスプレスで提供される列車内での無線LAN接続の解説図
つくばエクスプレスで提供される列車内での無線LAN接続の解説図

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