インテル(株)は22日、東京・丸の内の東京會舘で記者説明会を開催し、製品パッケージを従来のμPGA478からLGA(Land Grid Array)775に変更した新Pentium 4と、対応チップセットを発表した。今回発表された製品群はCPUが6種類、チップセットは3種類で、主要OEMメーカーやリセラーには受注を開始している。1000個受注時の価格は以下のとおり。
“HTテクノロジ対応Pentium 4プロセッサ エクストリーム・エディション” | “HTテクノロジ対応Pentium 4プロセッサ エクストリーム・エディション”の裏面(ピン側) | |
“HTテクノロジ対応Pentium 4プロセッサ” | “HTテクノロジ対応Pentium 4プロセッサ”の裏面(ピン側) |
LGA775パッケージ版Pentium 4
- 『Intel Pentium 4 processor Supporting HT Technology Extreme Edition(HTテクノロジ インテル Pentium 4 プロセッサ エクストリーム・エディション)』3.40GHz版
- 11万4200円
- 『Intel Pentium 4 processor Supporting HT Technology 560(HTテクノロジ インテル Pentium 4 プロセッサ 560)』3.60GHz版
- 7万2820円
- 『Intel Pentium 4 processor Supporting HT Technology 550(HTテクノロジ インテル Pentium 4 プロセッサ 550)』3.40GHz版
- 4万7670円
- 『Intel Pentium 4 processor Supporting HT Technology 540(HTテクノロジ インテル Pentium 4 プロセッサ 540)』3.20GHz版
- 3万1780円
- 『Intel Pentium 4 processor Supporting HT Technology 530(HTテクノロジ インテル Pentium 4 プロセッサ 530)』3.00GHz版
- 2万4920円
- 『Intel Pentium 4 processor Supporting HT Technology 520(HTテクノロジ インテル Pentium 4 プロセッサ 520)』2.80GHz版
- 2万350円
新Pentium 4対応チップセット
- 『Intel 925X Express chipset(インテル 925X Express チップセット)』
- 5720円
- 『Intel 915G Express chipset(インテル 915G Express チップセット)』
- 4690円
- 『Intel 915P Express chipset(インテル 915P Express チップセット)』
- 4230円
代表取締役共同社長の吉田和正氏とIA技術本部本部長の阿部剛士氏 |
会場には、代表取締役共同社長の吉田和正氏、IA技術本部本部長の阿部剛士氏らが出席し、新製品の概要や従来製品との性能の違いなどをデモンストレーションを交えて説明した。
LGA775版Pentium 4と新チップセットによって刷新されるという、2004年のデスクトップパソコンの“プラットホーム・テクノロジー” |
CPUはいずれもFSB 800MHzで動作し、1MBの2次キャッシュメモリー(Extreme Editionは2次キャッシュメモリー512KB+3次キャッシュメモリー2MB)を内蔵。90nmプロセスルールで製造される。パッケージの変更について、阿部氏は「動作クロックの向上に耐えるべく、新パッケージを採用した。モバイル向けCPUでの採用は決まっていない」とその理由を語った。
従来のPCIバスアーキテクチャーとPCI Expressバスアーキテクチャーの違い | こちらはAGPスロットとPCI Express x16スロットの構造の違い |
新チップセットは、“PCI Expressバスアーキテクチャー”を採用する初の製品。PCI Expressバスアーキテクチャーは、10年前に初めて採用され現在まで利用されている“PCIバスアーキテクチャー”に比べて転送速度が毎秒133MBから毎秒250MBに高速化されたほか、PCIバスでは複数のデバイスが1つのバスを共有するため、ビデオキャプチャーなどバスを長時間占有するデバイスではバスの調停などの手続きが必要だったが、PCI Expressバスではデバイス(スロット)ごと複数の独立した帯域“レーン”を確保する。このため、TVチューナー&キャプチャーカードの複数搭載やピクチャーインピクチャーなどの実現などが従来よりも容易に可能になるという。
グラフィックスアクセラレーター向けスロットも従来のAGP 8xから“PCI Exress x16”に刷新された。AGPスロットではグラフィックスメモリーのリードライトで1つの帯域(毎秒2GB)を共有しており、グラフィックスアクセラレーターチップに内蔵するビデオアクセラレーション機能(エンコード/デコード、スケーリングなど)が有効に利用できなかった。PCI Express x16では、リードライトにそれぞれ独立して帯域(毎秒4GB×2)を確保し、リードライトの並列処理に最適化している。このため、2D/3Dグラフィックス描画だけでなくビデオ録画再生などのパフォーマンスも改善されるという。
このほか、拡張スロットはPCI Expressスロットは最大4スロット、PCIスロットも最大4スロットで、インターフェースはUSB 2.0を最大8ポート搭載可能となっている。
RAID 1のミラーリングの威力をデモンストレーションするため、シリアルATA接続(赤いケーブル)を、動画ファイルの再生動作中におもむろに抜き、再生が続くところを見せようとした。実際には、数秒間(ミラーリングボリュームによる読み出し環境の復旧待ち)のディレイがあったものの、途切れたり異状終了することなく、動画の続きが再生された |
ストレージ接続用インターフェースとして4ポートのシリアルATA、1ポートのUltraATAをサポート。新たにRAID 0(ストライピング)とRAID 1(ミラーリング)のマルチボリュームが可能な“インテル マトリックス・ストレージ・テクノロジ”を搭載した(後述する“ICH6R”または“ICH6RW”との組み合わせが必要)。これは2台のHDDで、RAID 0とRAID 1のボリュームを同時に構築できる機能で、高速なリードライトを行ないたいゲームや仮想メモリー領域などはRAID 0ボリュームに、万一のHDDトラブルでも失いたくないOSやビジネスアプリケーション、作成したデータファイルなどはRAID 1ボリュームにと、重要度や利用形態に応じて使い分けられる。
内蔵オーディオ機能を“インテル ハイ・デフィニション・オーディオ”に強化。従来のAC'97との違いを示す図 | 会場で7.1chのオーディオ再生をデモンストレーションし、ハチが会場を飛び回るような頭の周りを巡る羽音を再現して見せた。「なにもハチじゃなくても」と思った記者も少なくなかった |
チップセット内蔵オーディオ機能も、従来の“AC'97”から“インテル ハイ・デフィニション・オーディオ”に変更された。これはサンプリング周波数96kHz/分解能20bit/ステレオ(2ch)出力というAC'97のスペックから、192kHz/24bit/マルチストリーム(7.1ch)出力に強化したもの。また、アレイマイクのサポートで音声認識の精度を向上し、プラグに装着した機器を判別してジャックの機能(ライン出力/マイク入力など)を変更する“ジャックの自動機能割り当て”などの新機能が追加されている。
Intel 915G Expressチップセットは2D/3Dグラフィックスアクセラレーター機能“インテル GMA(グラフィックス・メディア・アクセラレーター)900”を内蔵している。これはグラフィックスメモリーとして、メインメモリーから最大224MB共有し、DirectX 9をサポートする新グラフィックスアクセラレーターコアを搭載。グラフィックスコアの動作周波数は333MHz(従来のIntel 845Gチップセットは200MHz、Intel 865Gチップセットは266MHz)で、サポートするメインメモリーの帯域/アクセス速度も向上したことから、パフォーマンスはIntel 845Gの約2.8倍、Intel 865Gの1.7倍に強化されたという(同社が“3DMark 2001 SE”でのベンチマークテスト結果から算出)。映像出力も、従来のアナログRGB/DVIに加えて720P/1080iの高解像度ビデオ出力をサポートしている。
なお、Intel 925X Express/915P Express/915G Expressと組み合わせるICH(I/O Controller Hub)も一新されている。上記機能を実現する“ICH6”のほか、無線LAN機能をサポートする“ICH6W”、RAID機能をサポートする“ICH6R”、RAID機能と無線LAN機能をサポートする“ICH6RW”の4種類が用意されている。価格はICH6との組み合わせに比べて、ICH6Rでは+3ドル(約327円)、ICH6Wでは+5ドル(約545円)、ICH6RWでは+7ドル(約763円)それぞれ高くなる。
無線LAN機能は、インテルが今年後半に提供予定のPCIスロット用無線LANアダプター“Intel PRO/Wireless 2225BG”を装着することで、IEEE 802.11b/gに対応可能となる。これは無線LAN機器の相互互換性を保証する“Wi-Fi”認定を受けているほか、4ステップの簡易操作で無線LAN環境を構築できるウィザード形式のセットアッププログラムを提供するというもの。同社では、ノートパソコンの“Centrinoモバイルテクノロジ”と同様に、デスクトップパソコンでも無線LANを広く普及させたいとしている。
会場には、新Pentium 4と新チップセットを搭載する各社のデスクトップパソコン新製品(および開発中の製品)が多数展示された。会場で確認できた製品群は以下のとおり。
エプソンダイレクトの『Endeavor Pro3000』 | デルの『Dimension XPS』 | ソニーマーケティングの『VAIO type R(VGC-RA70P)』 |
- Dimension XPS
- デル(株)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 560-3.60GHz&Intel 925X Expressチップセット搭載
- 250GB HDD×2(RAID 0構成)、ATI RADEON X800 XT(256MB)
- Endeavor Pro3000(ニュース記事はこちらを参照)
- エプソンダイレクト(株)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 560-3.60GHz&Intel 925X Expressチップセット搭載
- 160GB HDD×4(RAID 0構成)、ATI RADEON X600 XT(128MB)
- FMV-E625
- 富士通(株)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 550-3.40GHz&Intel 915G Expressチップセット搭載
- 40GB HDD~、チップセット内蔵グラフィックスアクセラレーター(GMA900)
- SI-915PP340(参考出品モデル)
- 日本ヒューレット・パッカード(株)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 540-3.20GHz&Intel 915G Expressチップセット搭載
- 80GB HDD、チップセット内蔵グラフィックスアクセラレーター(GMA900)
- Mateスリムタワー型(高拡張性タイプ) MY34Y/G-E
- 日本電気(株)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 550-3.40GHz&Intel 915G Expressチップセット搭載
- 40GB HDD~、チップセット内蔵グラフィックスアクセラレーター(GMA900)またはATI RADEON X300 SE
- VAIO type R(VGC-RA70P/RA60シリーズ)(開発者インタビュー記事はこちらを参照)
- ソニーマーケティング(株)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 550-3.40GHz&Intel 915P Expressチップセット搭載
- 250GB HDD×2、ATI RADEON X600 XT(128MB)
- AmphisValue3000MultiDL
- アロシステム(株)(パソコン工房)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 530-3.00GHz&Intel 915P Expressチップセット搭載
- 200GB HDD、GeForce PCX5750(128MB)
- SI-915PP340(参考出品モデル)
- アイコム(株)(ソフトアイランド)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 550-3.40GHz&Intel 915P Expressチップセット搭載
- 160GB HDD、GeForce PCX5750(128MB)
- FG Series
- (株)KOUZIRO(フロンティア)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 550-3.40GHz&Intel 915P Expressチップセット搭載
- 200GB HDD、GeForce PCX5950 Ultra(256MB)
- MDV-ADVANCE 4500ST
- (株)エムシージェイ
- HTテクノロジ対応Pentium 4 540-3.20GHz&Intel 915P Expressチップセット搭載
- 160GB HDD、GeForce PCX5750(128MB)
- OASP-H常務取締役
- (株)オーエーシステムプラザ
- HTテクノロジ対応Pentium 4 560-3.60GHz&Intel 925X Expressチップセット搭載
- 250GB HDD、ATI RADEON X600Pro(128MB)
- GrandMaster C GMC3600E/WCX
- (株)パルテック
- HTテクノロジ対応Pentium 4 560-3.60GHz&Intel 915G Expressチップセット搭載
- 120GB HDD、ATI RADEON X600Pro(128MB)
- Pro i100
- (株)プロサイド
- HTテクノロジ対応Pentium 4 520-2.80GHz&Intel 915G Expressチップセット搭載
- 80GB HDD、チップセット内蔵グラフィックスアクセラレーター(GMA900)
- Prime Monarch LW
- (株)サードウェーブ(ドスパラ)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 560-3.60GHz&Intel 925X Expressチップセット搭載
- 160GB HDD、ATI RADEON X600Pro(256MB)
- TS-P56LD7CDP1
- 九十九電機(株)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 560-3.60GHz&Intel 915G Expressチップセット搭載
- 250GB HDD、チップセット内蔵グラフィックスアクセラレーター(GMA900)
- INSPIRE 4560PCW/PREMIUM
- (株)ユニットコム(フェイス)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 560-3.60GHz&Intel 915P Expressチップセット搭載
- 200GB HDD、GeForce PCX5750(128MB)
- VIP-IN360X/DVRAM/X6P
- (株)ユニットコム(TWOTOP)
- HTテクノロジ対応Pentium 4 560-3.60GHz&Intel 925X Expressチップセット搭載
- 250GB HDD、ATI RADEON X600Pro(256MB)