ブロードバンドルーターはここ最近もっとも競争が激しい周辺機器のひとつだ。その結果、市場はローエンドユーザー向けの低価格製品と、各種サーバーを自宅に設置し外からアクセスするようなハイエンドユーザー向けの2極化が進んでいる。今回紹介するコレガの「corega BAR Pro3」は、前者にあたる低価格ブロードバンドルーターだ。FTTHやCATVの高速回線でも余裕を持って対応できる97Mbpsのスループットを持ちながら、5000円台という価格設定がセールスポイントのコストパフォーマンスに優れた製品である。
5000円台で100Mbps近い
スループットを実現
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写真1 「corega BAR Pro3」本体。 |
本機は従来機種「corega BAR Pro2」の後継モデルだ。筐体デザインやサイズなどはほぼ同一で、壁掛け用フックや金属製ラックに工具なしで貼り付けられるマグネットが付属するなど、設置場所を選ばない取り回し安さも引き継がれている。
スループットはカタログスペック値で97Mbps(ファームウェアVer1.10)という、FTTHなどの高速なアクセスサービスにも余裕を持って対応できる数値が示されている。これはWANからLANへFTPにてダウンロードしたときの数値で、内部でNAT/IPマスカレードによるアドレス変換処理が行われている。つまり、実際の使用環境でもこの数値を期待してよいわけだ。機能面ではPPPoEマルチセッション機能が新たに搭載され、複数のプロバイダへも接続設定を切り換えることなく同時にアクセスできるようになった。そのほかにもグローバルIPアドレスを複数割り当てる“unnumbered IP”、Windows Messengerなどで使われている“UPnP”、“VPNパススルー”といった現在のブロードバンドルーターに必要な機能は網羅されている。
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写真1 本体前面および背面。 |
本体機能の設定はWebブラウザを経由して行う。インターネットに接続するだけなら、「クイック設定」で接続方式とアカウント及びパスワードなどの項目を入力すればすぐに使い始められる。パケットフィルタやバーチャルサーバの設定は、ポート番号の範囲指定、IN/OUTの指定、UDP/TCP/両方など細かい指定ができるなど満足のいく作りだ。動作時の発熱は少なく、巨大なファイルを長時間ダウンロードし続けてもあまり熱を持たなかった。低価格ブロードバンドルーターでよく見られた「熱暴走でダウンして回線が切れた」という問題は、本機では心配ないようである。
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画面1 Webブラウザによるクイック設定の画面。項目はこれ以上ないくらいシンプルに抑えられている。逆にここにある項目を2~3つ入力するだけでブロードバンドルーターを運用できるのだ。 | 画面2 PPPoEマルチセッション機能が新たに搭載された。1つの接続で3カ所のプロバイダ設定を登録できる。 |
マニュアルは、インターネットへ接続すための設定手順を記載した「クイック設定ガイド」が付属するのみだが、初心者はガイドどおりに設定すれば、問題ないだろう。少々気になるのは、詳細のマニュアルが付属しないため、パケットフィルタやバーチャルサーバーなどの高度な接続設定をしたいユーザーは、メーカーのWebサイトからマニュアルデータをダウンロードする必要がある点だ。低価格製品ではあるが、この点が改善されるとさらに良いだろう。
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写真2 付属のACアダプターはかなり小型でコンセント周りもすっきりしそうだ。 |
マニュアル関連に不満があるとはいえ、この性能のブロードバンドルーターが5380円というのは驚異的な安さだ。とにかく速くて低コストの製品を探している人にはうってつけの1台となるだろう。
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写真3 「corega BAR Pro3」のメイン基板。一番大きなチップ“KD8695”がARM9コアとスイッチを混載したメインチップ。 |
corega BAR Pro3の主なスペック | |
製品名 | corega BAR Pro3 |
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WAN側インターフェイス | 10BASE-T/100BASE-TX×1 |
LAN側インターフェイス | 10BASE-T/100BASE-TX×4 |
電源 | 外部ACアダプター(付属) |
サイズ | 177(W)×103(D)×34(H)mm |
重量 | 約266g |
