【最新パーツ性能チェック(Vol.12)】最終対決!? Pentium 4-3.2GHz登場!Athlon XP-3200+との戦いの行方は?
2003年06月24日 19時23分更新
7カ月ぶりのクロックアップ
Pentium 4-3.2GHz。写真はエンジニアリングサンプルに付き、クロック等が記載されていない。パッケージ等は従来製品と変わらない |
6月24日、Pentium 4の新たな最高峰となる3.2GHz版が登場した。これは4月の3GHz版の直接の後継となるもので、FSBは800MHzで、ハイパースレッディングを搭載する。インテルにとっては、実は昨年11月の3.06GHz版投入以来、実に7カ月ぶりの最高クロック更新となる。今回はFSB等の変化はないため、現行最高速の3GHz品に対してクロック比である3200÷3000=1.066、つまり、6.6%の向上が期待できる。
電圧は“マルチVID”といい、1.475/1.5/1.525/1.55Vのいずれかの製品が出荷される。今回入手したサンプルは1.55Vであった。消費電力は3GHz版より0.1W増えて82Wとなった。これはP4、Athlonの中で現状最大である。
さて、ライバルのAthlon XPは、しばしばPentium 4のクロック周波数と比較される“モデルナンバー”において、3200+という製品を出荷している。しかしこの製品は、我々のテストにおいては、Pentium 4-3GHzと並ぶかどうかという程度の性能である。
従来は性能的にまずまず一致していたAthlon XPのモデルナンバーとPentium 4の周波数が、このように乖離してしまった原因は、Pentium 4がFSB 800MHz版を投入してことで、クロック当たりの性能が大きく上がった点にある。ただ、モデルナンバーはAMDにとっては、Athlon XP同士の性能の上下関係を示すもので、ライバルのPentium 4のクロックとは関係がない。1500+から3000+のラインアップをふまえた上で、3200+に値する性能であればよい、という立場だ。
ともあれこのような事情なので、今回Pentium 4-3.2GHzが登場したことによるチェックポイントは、
1. Athlon XP-3200+との力関係がどれほど明白に優勢になったか
2. Pentium 4-3GHzと比べてどの程度性能が向上したか
という2点になる。
直接対決は3.2GHzに軍配
高速CPUが必要になる作業の典型例である3D処理とエンコード、圧縮処理を行った結果をグラフ1~10に掲げる。
グラフ1~5は3Dゲームのパフォーマンスの指標となるテスト。すでに3GHz時点で3200+を上回っている3DMark 2001SE、Comance 4、Quakeは当然その差を広げた。Athlonが強いFinal Fantasyは、3.2GHz化で3000+はかわしたものの3200+には届かず、Unreal BotMatchでは3000+にも届かなかった。双方とも、自分の強いテストでは逆転は許しておらず、UnrealのFlyByは僅差すぎるので除いた場合、勝敗はPentium 4の3勝2敗となる。ただ、Athlonが勝っているのは僅差だがPentium 4が勝っているものはかなり大きなものがあり、全体的にはもっとPentium 4が優勢に見える。
グラフ6は、Open GLによる3D描画のテスト。ここでは3.2GHz化でもほとんど性能向上が見られず、Athlonとの差は縮まらなかった。
グラフ7~9は動画圧縮のテスト。TMPGEncによるMPEG2圧縮では、これまでAthlonにリードされていたPentium 4が大きくスコアを伸ばし、3200+に首の皮1枚まで迫った。今までも大きくリードしていたDivXやWindows Media Videoによる圧縮ではぶっちぎりの独走態勢だ。
グラフ10は可逆形式の圧縮ソフトGCAによるテストだが、ここはAthlonの牙城、3200+でさらに開いた差に対して、3.2GHz化の効果は少なかった。グラフ11はCPUの演算性能を見るSuperπ。3200+で3GHzに並ばれたが、3.2GHzはきっちり引き離した。
3Dを含めたトータルの勝敗はPentium 4の6勝5敗。接戦にも見えるが、大差でリードしているテストがPentium 4側は5つに対しAthlonは2つしかないことも考えると、実際にはPentium 4-3.2GHzの圧勝といえる。3GHz時点で3200+と互角であったことを考えれば、当然の結果である。