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【最新パーツ性能チェック(Vol.12)】最終対決!? Pentium 4-3.2GHz登場!Athlon XP-3200+との戦いの行方は?

2003年06月24日 19時23分更新

文● 週刊アスキープラス編集部 野口岳郎

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3D性能は上がりにくいがエンコードはリニアに速くなる

 さて、もう一つのチェックポイントである、性能向上率についても見てみよう。3GHzと比べて、CPUのクロックは6.6%上がっているから、アプリケーションレベルでは5%上がれば御の字というところだ。
 3D系のテストにおいては、性能向上率はかなり低い。変化していないSPEC viewperfは別格としても、3DMark、Comanche、FinalFantasyといった、高解像度の画面全体を描画するテストでは、1%強しかアップしていない。解像度が低いQuake3や、比較的描画頻度の低いUnreal Tournament/BotMatchでは2.7%とやや健闘するが、クロックの差を考えればもうひとつだ。
 その点、TMPGEnc、Windows Media Videoはともに6%と、ほぼクロック通りの向上を見せている。その点、1GBのAVIファイルのDivXへのエンコードは3%といくぶん低下し、GCA圧縮は1%しか向上しないが、これらはHDDやメモリの性能がボトルネックになっている可能性がある。
 TMPGEncやWMVはSSE2を意識して作られているし、WMVはハイパースレッディングを活用するように作られている。このように、Pentium 4の癖を掴んだコーディングがされている場合に、性能がよりリニアにのびるといえそうだ。

CPUに“凪”の夏

 Intelは昨年11月の3.06GHz以来、 7カ月がかりでようやく130MHzのクロック向上を果たしたことからも、現在のプロセスでのクロック向上が限界に近づきつつあることは容易に見て取れる。事態はAMDでも深刻だ。一見2800、3000、3200と順調にスピードアップを図っているように見えるが、これは2度に亘るFSBクロックの向上と、キャッシュの倍増に支えられているものであって、クロック的には昨年10月の2800+(サラブレッドコアでFSB333MHz版)の2.25GHzを、その後下回ったままだ。2800+り続けている。サラブレッド/333MHzの2800+が秋葉原に一度も流れなかったことを考えると、どうもこのクロックでの量産は達成できなかったと見るのが自然だ。となると、Intel、AMDともに、もう現在のコアで打てる手はないということになる。

 ウェブ上でのロードマップの報道では、Pentium 4はこの3.2GHz品で打ち止めで、次は第四四半期(10月以降)に登場する90nmプロセスによる新コア“Prescott”に移行すると言われている。“Prescott”については、Pentium 5という名前が付くのではないかとも、まことしやかにささやかれている。Pentium 5かどうかはともかく、新命令の追加などかなりの機能強化が行われているから、新しい名前になると見るのは不自然ではない。一方対するAMDサイドは9月に新CPU「Athlon 64」を投入すると公約し、それを撤回していない。
 すると、今回の3.2GHz vs 3200+は、2000年11月以来血で血を洗うバトルを繰り広げてきたPentium 4 vs Athlon (XP)の最終幕ということになる。両者ともにオンチップキャッシュを512KBにまで拡大して性能アップを図ってきたが、デュアルチャネルDDR 400のパワーをフルに引き出せる、想像外の800MHzという高クロックのFSBと、Hyper-Threadingという秘密兵器を装備したPentium 4が、粘るAthlonを振り切ったというところだろうか。
 Intel vs AMD、次の戦いは、Atlhon 64と“Prescott”という次世代プロセッサが担うことになる。この夏は、熱い冬のバトルを後ろに控えた、つかの間の凪の日々になりそうだ。

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