このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

エンタープライズLinux導入事例─ツタヤ オンラインの場合

2002年12月29日 07時52分更新

文● 阿蘇直樹

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

11月29日、総合エンターテイメントサイト“TSUTAYA online”の運営をおこなう(株)ツタヤ オンラインは、基幹データベースシステムを既存のUNIXベースのものからLinuxに置き換えることを発表した。Webサーバやメールサーバなど、いわゆるエッジサーバにLinuxを採用することは珍しくないが、業務基幹システムの分野では、ミドルウェアなども用意されてきているにもかかわらず実際に導入したという話題は少ない。そこで、同社システム技術グループマネージャーの兼安暁氏に、Linuxデータベース導入の背景や導入の際の課題と解決方法についてうかがった。

(株)ツタヤ オンライン システム技術グループマネージャーの兼安暁氏
(株)ツタヤ オンライン システム技術グループマネージャーの兼安暁氏

そもそもなぜLinuxなのか

[編集部] まず、“TSUTAYA online”サービスについて、これまでどのようなシステムで運営されていたのか教えてください。
[兼安氏] “TSUTAYA online”は、旧シー・シー・シー オンライン時代の1999年7月からサービスを開始しています。当時はデータベースだけでなく、Webサーバ、メールサーバもすべてSPARCアーキテクチャのSolarisを採用していました。当時としては、Solaris以外の選択肢にしたからといって必ずしも安かったわけではありませんでしたし、そもそもほかに現実的な選択肢はありませんでした。エッジサーバの部分については、昨年の夏くらいからIAサーバベースのLinuxシステムに置き換えていこうという計画を立てて、まずはメールサーバの部分からLinuxに置き換えました。Webサーバの部分は、当初採用していたミドルウェアをLinuxに移行するために書き換える必要がありましたので、今年の4月、5月くらいから順次Linuxベースのものに置き換えていまして、最近は新規のサーバはすべてLinuxベースのものです。
今回のデータベース移行についても、コストを削減したいという部分もありましたが、単純にシステムのリプレースが必要になってきたというのがあります。11月末現在で322万人の方に登録頂いているのですが、当初予定していたのは250万人程度の登録ユーザーを目安に考えていましたので、そろそろ限界だったということが大きいです。
[編集部] WebサーバやメールサーバですでにLinuxを導入されているというお話ですが、そもそもなぜLinuxを採用しようと思われたのでしょうか。単純にコストが安いということだけを考えたら、ほかにもたとえばFreeBSDなどの選択肢もあったのではないでしょうか。
[兼安氏] 意志決定する人たちから見れば、無料で入手できるということで、LinuxでもBSD系のOSでも違いはありません。あとは現場のエンジニアがどちらを支持するかですね。Linuxの場合、BSDと比べて情報が多いこともありますし、趣味で利用しているエンジニアが多いこと、若いエンジニアが大学でさわってきているシステムがLinuxが多いといったことがありまして、結局は単純にメジャーだったからということでしょうか。ディストリビューションも、一番メジャーだということもありまして、Red Hat Linuxを使っています。ちなみにWindowsは、動画配信の部分では結構使っていますが、あまり好きではありませんね(笑)。
[編集部] Solarisと比較して、実際に運用されていて何か問題になったことなどはありましたか。
[兼安氏] 今のところ特にはないです。むしろ、以前Solarisで利用していた商用のWebサーバからLinux上のApacheに乗り換えたことで、トラブルが少なくなったくらいです(笑)。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ