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凧を使ったデジタルカメラ空中写真にトライ

凧を使ったデジタルカメラ空中写真にトライ

2002年06月22日 06時39分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・行正 和義

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のんびり凧上げするのも悪くない

 KAPの場合、とりあえず凧を降ろしてみないとどんな絵が撮れているかわからない(ビデオ出力から映像信号をトランスミッタで飛ばすこともできるわけだが)。デジタルカメラは銀塩と違って撮影結果をすぐに確認できるのが魅力だが、実際に降ろして再生モードにするときの期待感と、きれいに撮れたカットがあった場合のうれしさは格別なものがある。
 KAPを始めてからそれほど場数を踏んでいないため、あまり立派な写真は撮れていないのだが、空撮らしい雰囲気にはなっていることと思う。KAPも普通の風景写真と同様に撮り慣れてくると、より“いい写真”を撮りたくなり、カイトやリグ、カメラをよりKAPに向いたものに換えたり工夫したくなってくる。とくに、今回は手元にあったデジタルカメラを使ったが、前述したようにやはり広角レンズで撮りたくなる。ニコン「COOLPIX 5000」やDiMAGE 7の28mm~という広角レンズの魅力も高いし、ニコンでは純正オプションでワイドコンバータレンズやフィッシュアイ(魚眼)レンズも用意しているのには食指が動く。カメラの選択肢を広げるという意味あいにおいてもインターバルタイマユニットやひとまわり大きなカイトの導入を検討中だ。

写真12 面白そうな被写体(地形)を探すのはKAPに限らず撮影の基本。川和富士は江戸後期に作られた富士塚の1つで、現在は公園になっている。このように場所が狭いところから上げるときはとくに風速に注意しよう。写真13 左の場所からQV-2800UX+ワイコン(写真10のものとは別製品)で撮影。画面上から伸びるラインが小山の頂上にいる撮影者に繋がっているのもカイトフォトらしい。ラインは20m程度しか出しておらず、空撮というには高度は低いが、それでも普段見ることのないアングルは新鮮だ。100m以上からの撮影は飛行機やヘリでもできるが、こういった「ちょっとした高さ」からの撮影は面白い。

 もちろん被写体も重要であり、俯瞰で撮ると面白そうな建物や地形などを捜しているところだが、周囲に広めの空き地があり、なおかつ風が安定している必要があるなど、普段の風景写真以上に撮影条件はシビアだ。いい風が吹かないときには無理に上げるよりも、気長に撮影チャンスを待つことが肝心だ。カメラを上げるほどの揚力が得られなくても、のんびり凧上げを楽しむくらいの心構えで楽しみたい。
 36枚程度撮影したら(凧とカメラを引きおろして)フィルムを交換しなくてはならなかったり、インターバルタイマのために外付け機器を必要とする機種が多い銀塩カメラに比べ、撮影枚数や高度な撮影機能などデジタルカメラの利点は多い。日本や世界のKAP写真家の中にもデジタルカメラを用いる人も出てきており、いずれも各自創意工夫を凝らした機材の自作や撮影方法の試行錯誤を行っている。これからデジタルカメラでの空撮を目指すという人も、各自オリジナリティのある工夫をしてみるのも面白いだろう。

 特に、日立マクセルの「WS30 SLIM」や富士フイルムアクシアの「eyeplate」など、銀塩カメラにはない小型軽量のデジタルカメラもあり、レリーズ機能とリグを十分軽量に仕上げればオモチャ屋で売っているような小型カイトでもKAPが可能だろう。また、パノラマ合成写真といったデジタルカメラらしい機能も銀塩以上に生かせる。
 ともあれ、カイトとラインとリグを合わせても、入門者用低価格デジタルカメラ1台分程度の出費で済む。あとは空き地と風さえあれば、普段見ることができないアングルから撮影が可能だ。凧というシンプルかつプリミティブな手段とデジタルカメラという最先端の製品が合体し、創意工夫次第でいろいろ奥が深そうなデジタルカメラKAPを一度試してみてはいかがだろうか。

日立マクセル「WS30 SLIM」。画像をクリックするとレビューに移動します。富士フイルムアクシア「eyeplate」。画像をクリックするとレビューに移動します。

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