リモートレリーズはインターバルタイマで
写真6 実際に飛ばすとこのような感じになる。カメラの手前と奥でラインの角度が異なるが、風が強くてラインに高い張力がかかるとほとんど直線状となり、ライン全体も高い角度となる。 |
インターバルタイマは、設定した時間おきに自動的にシャッターを切る(インターバル撮影)機能だが、マニュアルやカタログなどで具体的な使い方が提示されることはあまりない。植物の開花や昆虫の羽化、山の紅葉の進み具合を撮影し、コマ撮り連続写真として見せるという定点観測カメラ的な使い方が紹介されていることがあるものの、かなり狭い用途に思える(もちろん、KAPはそれ以上に狭い用途であることは間違いないと思うが)。
コンパクトクラスのデジタルカメラでは、カシオの「QVシリーズ」やリコーの「RDC/Caplioシリーズ」、エプソンの「CPシリーズ」の一部を除くと、インターバルタイマを搭載する機種は意外なほど少ない(USBなどで接続したPCから制御できる製品はけっこうある)。デジタルカメラはほぼすべて電子制御であり、インターバルタイマはソフトウェアの追加だけで実現できる機能なのだから、搭載する機種がもっと多くてもいいと思うのだが。
なお、デジタルカメラにインターバルタイマが搭載されていなくても、電子的/機械的なインターバルタイマユニットが市販されており、これをデジタルカメラで利用することも可能だろう。多くのインターバルタイマユニットはカメラ側にリモートレリーズ端子を必要とするが、カメラを分解してシャッター接点から電線を伸ばすことも可能だし、モーターと減速ギアを組み合わせて機械的にシャッターボタンを押すユニットの製作。あるいはラジコンのサーボでシャッターを押すなど、工夫次第で方法はいろいろあるはずだ。
写真7 約500mのラインを全部出し切った状態。画面右下から斜め左上に向かってラインが伸びていることからも分かるように、ラインの地上端から撮影している。肉眼でもカイトは豆粒のようになっており、カメラはほとんど目視できない。拡大するとDelta-Conynesが飛んでいることが分かる。 |
今回利用したインターバルタイマ内蔵のデジタルカメラは、カシオ計算機「QV-2800UX」、リコー「RDC-7s」、エプソン「CP-800」+ワイドコンバージョンレンズの3機種。これらの機種の電池込みの重量は、QV-2800UXは約400g、RDC-7sは約310g、CP-800は約300g。単3乾電池×2本で動作するCP-800は軽さが魅力だが、QV-2800UXのレンズ回転機能はリグにセットする際に便利そうだ。
また、QV-2800UXではインターバルタイマの作動遅延を設定可能(“何分おきに何枚”に加えて“何分後に開始”)だが、他の機種はすぐに撮影を開始してしまう。記録枚数に余裕があれば問題ないが、上空から撮り始めたいというのならば作動開始時間を遅延設定できるのは魅力だ。
なお、インターバルタイマ機能を内蔵している小型デジタルカメラとしては、NTTドコモの「eggy」がある。いろいろと資料を調べてみたが、インターバル撮影ができるデジタルカメラ製品としては多分これが最軽量(約225g)となるだろう。もっとも、Palmと「コダック PalmPix」を組み合わせれば200gを少し切るくらいにはなるはずだ。
いずれも35画素クラスでは画質的にも少々辛いものがあるので今回は見送ったが、より小型のカイトを使って簡易空撮の最軽量構成システムを作ってみるものいいだろう。
インターバルタイマ以外でカメラに求めるスペックとしては、できれば広角レンズが欲しいところ。上空から見下ろした俯瞰の風景を撮るならば、広角レンズだと迫力ある写真となる。デジタルカメラは35mmフィルムカメラ換算で35mm以上のものがほとんどだが、やはり広角30mm以下がほしい。今回利用したデジタルカメラはすべて35mm以上だが、QV-2800UXはレンズ部にコンバージョンレンズ用のネジが備わっているので、オプションを追加するとさらにユニークな写真が撮れる。
コンパクトカメラというには少々大きくて重いが、ミノルタ「DiMAGE 7」「同 7i」やオリンパス光学工業「CAMEDIA E-10」「同 E-20」もインターバルタイマー撮影機能を持ち、しかも広角28mmというレンズを搭載している。いずれもKAPで使ってみたい製品ではあるものの、DiMAGE 7/7iは約505g、E-10/E-20は約1050gと、今回使ったカイトにとっては少々重く、さらに落として壊したときの金銭的&心理的ダメージはかなり大きいので見送ることにする。