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凧を使ったデジタルカメラ空中写真にトライ

凧を使ったデジタルカメラ空中写真にトライ

2002年06月22日 06時39分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・行正 和義

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風を待ちつつ凧とカメラをセットアップ

図 カイトを上げてからカメラをセットする方法。まずはカイトを10~20m上げること。そののちラインにリグをセットする。十分なカイトの引きがあればラインの地上側でリグをセットしてもいいが、多少引きに不安があればラインを引き降ろして途中にセットするといい。
 それでは実際にKAPを行ってみよう()。機材のほかに必要なのは場所と風だ。カイトの上げ降ろしやカメラの装着などに意外とスペースを取るので少なくとも野球場やサッカーフィールドの半分くらいの広さは欲しい。また、『高い木や電線の近くでは凧上げは禁止』という原則は、大人の凧上げにも当てはまる。丈夫なラインにかなりの張力がかかることを考えれば、遊んでいる子供などが近寄ってきた場合には十分注意を払いたいし、それなりの重さのある金属とプラスチック、ガラスの機材が高さ数十m以上に上がるのだから不意の落下といったことは絶対に避けたい。

 風については、これがないとカイトはどうしようもない(広い場所なら車などで牽引するという手もあるが)。単に風が吹くというだけでなく、安定した一定の風が望ましい。周囲に山や建物などがあると風が渦を巻くので離陸させにくいほか、上がってからもカイトが安定しないので要注意だ。
 地表近くは地面との摩擦で風が安定しておらず風速も弱いため、最初からカイトのすぐ下にカメラを装着してもまず離陸しない。最初はカイトのみで10~20m程度ラインを繰り出し、十分な引きがあればラインの途中にリグを固定し、さらにラインを繰り出す。十分な広さがあれば、一度カイトを高く上げてからラインの端を固定し、ラインを地面に引き降ろしながらカイトに向かって前進し、ラインの途中にリグを接続する。それからラインを緩めつつカイトから遠ざかればカメラは上がっていくはずだ。

写真8 CP-800で撮影した多摩川の河川敷にある親水公園。本来コンバータレンズを装着することを考えていないカメラに無理やりワイコンを付けたおかげで周辺部の色収差が大きくなっているのが問題で、やはり最初から広角寄りのレンズを搭載しているデジタルカメラが欲しくなる。下の写真は撮影後に角度を変えて上げ直したカット。アングルによって写真の印象が変わるのは当然だが、空撮ともなればなおさら大きく変わる。

 なお、ラインの端を固定する際は、木や柱、杭などに直接縛りつけるのではなくバンジーコード(バイクや自転車の荷台に荷物を縛りつけるゴムひも)を利用しよう。突風で瞬間的に大きな張力がラインにかかるのを防いでくれる。カイトが推奨する強度のラインであれば、よほどの強風でもなければ張力だけで切れることはまずないが、ナイロン系繊維は熱に弱いため一定の部分が擦れるような使い方を避けるのが基本となる。

写真9 縦位置で撮影してもいい感じに仕上がる。RDC-7sで撮影した二子多摩川(右側が世田谷、左が川崎)は。写真3の方法で撮ったもので、水平アングルが決まっていないぶん、降ろしてから画像を確認するとさまざまなアングルで撮れていて面白い。
 カメラの設定だが、基本的にマニュアルフォーカスで無限遠に設定している。たとえ安定した風でもラインにぶら下げたカメラはかなり揺れるので、マニュアル露出モードを持つカメラであればシャッター速度を速めにしたほうがいい。シーンモードがあれば「スポーツ」に、プログラムオートしかない場合でもISO感度を高めに設定するとシャッター速度が速めになるが、デジタルカメラではISO感度は画質とのトレードオフとなってしまう。できれば晴天で十分な光量が得られる条件下で撮影したい(写真9)。
 カメラが上がってしまえばインターバルタイマで設定した枚数分の撮影が終わるのを待つだけだが、風が急に弱まってカメラが地面に激突してしまうのを避けるために注意深く見守っておきたい。風が一定ならばたいていはなにもしなくても済む。大変なのはカメラとカイトを降ろすときで、風が強いときにはかなり力を使うので、リグをセットするときのようにラインを引き降ろしてからいったん固定し、それからラインをリールに巻くという作業するといい。

写真10 完全に下を向いた90度俯瞰は航空写真っぽい。QV-2800UX+ワイドコンバータレンズで撮影したもので、いまひとつ相性の良くないワイコンのため左上がケラレている。お台場の潮風公園から上げており、左下がホテル日航東京、右上がホテルグランパシフィックメリディアン、中央をカーブしながら通っているのはゆりかもめの路線と台場駅。撮影風景が写真8。施設や鉄道、道路の上へカイトを飛ばすときは十分に注意しよう。この作例も、実はここまで飛ばすつもりはなく、糸を出しすぎてしまったもの。カイトやカメラを落とした際のことを考えれば原則的に鉄道や公道の上には飛ばさないほうがいい。写真11 写真6の場所からの撮影結果。RDC-7sで撮影。いまひとつアングルもロケーションも開花状態も良くないが、ぜひとも来年は満開の桜並木を撮ってみたい。

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