ソニー
オープンプライス
3万9800円/2万9800円(SonyStyleダイレクト価格)
- 0570-00-3311
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ソニーのCLIEは、320×320ドットのハイレゾ液晶や音楽再生機能(一部オプション)など、マルチメディアに強いPDAとして、個性的なモデルが多いPalmデバイスの中でも人気を集めている。従来のCLIEは多機能な反面、本体の厚さが16.5mmと、他社製品に比べて厚めだったが、今回、モノクロモデルでは薄さ9.9mmと1cmを切る、超薄型の新シリーズ「PEG-Tシリーズ」が登場した。
モノクロモデルは深絞り技術で薄型化を実現
カラーモデルの「PEG-T600C」(左)とモノクロモデルの「PEG-T400」(右)。本体色はPEG-N700シリーズと同じ「サテンシルバー」のほか、PEG-T600Cには新色の「ロイヤルブルー」も用意されている。 |
Tシリーズの最大の特徴は、一見して分かるように、薄型のボディだ。PEG-T400ではこの薄さを実現するために、「深絞り加工」の技術を採用している。深絞りとは、アルミの平板を金属の展性を利用して筒型にプレスしていく手法で、アルミ缶やポータブルステレオのガム電池の加工などに用いられている。本体に継ぎ目がなく、一般的な射出成形には見られない美しい曲面が特徴の本機のデザインはこの深絞り技術によって可能になったものだ。
本体の厚みはPEG-T600Cが12.5mm、PEG-T400が9.9mm。T400はPalmデバイスとして初めて薄さ1cmを切った。T600Cもカラーデバイスとしては最小だ。 |
薄型化によって、音楽再生機能はヘッドホン型オプションでの対応となり、バッテリ駆動時間が若干減っている(通常使用でT600Cが12日間、T400が15日間)。しかし、手に持った際のホールド感や、ポケットなどに入れる際の携帯性は確実に上がっている。また、薄型ボディということで気になる強度に関しても、6面すべてが金属(アルミ)製のため、剛性感は十分だ。金属特有のひんやりとした感触が実に心地よい。
従来モデルではストロークが浅く、若干押しにくかった前面のアプリケーション/スクロールキーは、しっかりとしたクリック感のあるステンレス風のデザイン(材質はプラスチック)に変更された。従来よりかなり押しやすくなっている。 |
PEG-T600C(下)とPEG-T400(上)の外観上の違いはジョグダイヤルの部分だ。本体の薄さの関係で、ストラップを付けるための金具の位置と形状が異なる。 |
メモリはたっぷりと16MBを用意
モノクロ液晶モデルの視認性には難アリ
320×320ドットのハイレゾ表示はCLIEの特徴のひとつだが、今回からメイン画面では3×4列の通常のアイコン表示に加え、4×5列の小アイコン表示が追加された。 |
液晶は、従来のカラーモデル「PEG-N750C」が、フロントライトを備えた反射型のTFT液晶を採用していたのに対し、今回のT600Cでは初代CLIE「PEG-S」シリーズと同様のバックライト方式半透過型TFT液晶となった。反射型と透過型の両方の性質を兼ね備えた半透過型の液晶は一般に開口率が低く、バックライト点灯時の明るさはどうしても低くなる。そのため、初代CLIEのように「液晶が暗い」という批判を受けてしまうケースも多いのだが、評価機の液晶を見た範囲では大きな問題は感じなかった。PEG-N750Cのフロントライトほど明るくはないが、Sシリーズのような暗さは感じない。また、半透過型にすれば、フロントライトと導光板を省略できるため表示部を薄型化でき、本機のようなPDAには大きなメリットとなる。
一方、モノクロモデルのPEG-N400では、「ファイン液晶」と名付けられた独特開発の液晶が用いられている。ソニーの説明によると、「内在反射技術」(通常ガラスの外側=奥側にある反射板をガラス内部に作りこむ技術)により、影がなくシャープな文字表示が可能だという。確かに細かなドットを見てもディティールの高さを感じられるが、評価機の液晶は反応が遅く、コントラストも低めであるため、長時間の使用では目がかなり疲れそうだ。また、タッチパネルの感度も鈍く、操作に多少難儀する部分もあったので、不安なら、購入時に店頭で実機に触れることをお勧めする。