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PCG-C1MRX

PCG-C1MRX

2001年10月16日 00時00分更新

文● 山崎

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基本スペックの大幅な強化で使いやすさが向上

 画面表示は液晶パネルのサイズこそ従来どおりの8.9インチTFT液晶だが、表示解像度は1280×600ドット(従来は1024×480ドット)へと高解像度化・高精細化が図られており、表示面積は小さいながらも情報量は大幅にアップしている。それにあわせてビデオチップもビデオメモリを8MB内蔵するATIの「MOBILITY RADEON-M」に変更された。横長液晶はWebページや長い文章などの閲覧にはあまり有効でないが、縦の解像度が600ドットに拡大されたことで、従来機種ほど頻繁に画面をスクロールさせる必要はなくなっている。

OSにはWindows XP Home Editionを採用するが、デフォルト状態のデスクトップにはごみ箱以外にもプリインストールアプリなどへのショートカットが並ぶ。
 液晶サイズは据え置きで解像度だけ増えているので標準設定ではアイコンや文字の表示サイズが小さく使いづらいと感じることもあるだろう(その場合は画面のプロパティで「大きいアイコン」を選択するとよい)。とはいえ非常に緻密な印象の画面は情報が詰め込まれた感じが強く、そういうデスクトップが好みだという人には強くお勧めできる。

 本体に装備するインターフェイス類は、USB、i.LINK、マイク、ヘッドホン、モジュラジャックとPCカードスロット(TypeII×1)、メモリースティックスロットと、ボディサイズの小ささのためミニマムといった印象だが、これを補うべくCRT、10BASE-T/100BASE-TX対応のEthernetコネクタ、AV入出力端子を装備するポートリプリケータが付属している。



本体には右側面にヘッドフォン、マイク、ポートリプリケータ、USB、電源、モデムの各端子を、左側面にはTypeIIのPCカードスロットとi.LINK端子を備える。i.LINK端子の隣の「DC OUT」という端子はオプションのCD-RW&DVD-ROMドライブ「PCGA-CRWD1」およびDVD-ROMドライブ「PCGA-DVD1」を専用ケーブルで接続し、ACアダプタなしで動作させるための電源供給用コネクタ。

アンテナ部分のはみ出しが約4mmと少ない11Mbps対応の無線LANカードが付属し、充実したワイヤレス通信環境を標準でサポートするとはいえ、できればBluetoothモジュール同様に内蔵してほしかった。
 このほかBluetoothモジュールを内蔵し、さらにIEEE802.11bに準拠した無線LANカード(TypeIIのPCカード)も付属するなど、ワイヤレスネットワーク機能のサポートは充実しており、携帯性に優れたミニノートの利点を最大限に活かせる環境が整っている。



インターネット経由で動画のリアルタイム配信を可能にするインターネット放送のためのソフト「URecSight」。Ver.2.0にメジャーバージョンアップし、撮影中の映像とHDDに保存している映像とのスイッチングが可能になるなど、大幅な機能強化が行われ映像配信の楽しみが広がっている。
 ソフトウェアについては、インターネットを利用した動画のライブ配信を行う「URecSight Ver.2.0」や文字と動画、音声さらにアニメーションも利用できるチャットツール「Q-ze talk」など、Smart Capture Premiumと共にCCDカメラを活用するためのアプリケーションが充実している。さらにほかのVAIOと同様に、DV動画の取り込み編集を行う「DVgate Ver.2.4」「MovieShaker Ver.3.2」や画像管理ソフト「PictureGear Ver.5.1」、地図閲覧ソフト「Navin' You Ver.5.5」などのソニーオリジナルソフトが揃うほか、秋モデルとして2002年対応版の年賀状作成ソフト「筆ぐるめ for VAIO」もプリインストールされている。オフィスアプリこそ用意されないものの、クリエイティブなPCを標榜するVAIOらしく、ミニノートのPCG-C1MRXであってもマルチメディアデータを取り扱うための充実した環境が整っている。



Windows XPのインターフェイスに慣れないユーザーでもオリジナルアプリケーションに簡単にアクセスできるよう、スタートメニューには「ここから始めよう VAIO!」という項目が用意され、クリックすればアプリケーションラウンチャ「VAIOスタートパネル」を起動できる。

ピッチ17mm、ストローク2mmのキーボードは、これまでのPCG-C1シリーズ同様ゴムスプリングを採用し、適度な重さと比較的はっきりしたクリック感のあるタッチを継承する。スティックタイプのポインティングデバイスは従来どおりだが、キーボード手前の3つのボタンは円柱形状に変更され、これまでの普通のボタンよりも力が加えやすく押しやすくなっている。側面にあったジョグダイヤルは右上に移動した。
 実際に使用してみた印象だが、以前のPCG-C1では多少もたつく感じが強かったけど、PCG-C1MRXではより高速なCPUを採用したのに加え、メインメモリがより高速に動作するDDR SDRAMに変更されると共に容量も256MBと従来より倍増されたのが効いているのかきびきびと動作する。ASCII Labs.製Excel 2000ベンチマークの結果は前モデル「PCG-C1VSX/K」に比べ約10%の高速化が実現されている。またベンチマークテストの数値自体は同クロック程度のPentiumIIIを搭載するノートPCにはまだまだ及ばないものの、体感的にはそれほどの差は感じられないので、PCG-C1MRXより前のマシンを使ってCrusoe搭載ノートPCはパフォーマンスが低いと感じているユーザーは認識を改めたほうがいいだろう。



ASCII Labs.製Excel 2000ベンチマークの結果

 ASCII Labs.製バッテリベンチマークの結果は、今回はCrusoeの省電力機能「LongRun」を利用せず動作クロックを733MHzに固定するフルパフォーマンスモードで計測したところ1時間45分となった。もちろんCPUの動作クロックを負荷に応じて切り替える「LongRunテクノロジ」を利用した場合や、CPUの動作クロックを333MHzに固定する「バッテリ優先モード」で計測すれば、より長時間のバッテリ駆動が実現できるはずだ。またPCG-C1MRXはモバイル性を重視しており、本体サイズが249(W)×152(D)×28~30(H)mmとコンパクトで重量が998gに抑えられているため、標準バッテリのスペックも11.1V/1800mAhと容量があまり大きくない。オプションでは標準バッテリの2倍または3.5倍の容量を持つ大容量バッテリが用意されているので、携帯性とのトレードオフで2倍以上の駆動時間を確保することも可能だ。

 Crusoeによる省電力性とワイヤレス通信機能の充実によるモバイル性の高さをウリにするミニノートというだけならありふれた存在だが、MOTION EYEによる映像の記録に加えMPEG2形式でのアナログ映像の取り込みも可能になったPCG-C1MRXは、マルチメディアデータを手軽に持ち運びさまざまな場所で利用できるという機動力を持ったマシンだ。価格はオープンプライスで実売価格は22万円程度と予想される。単なるノートPCとしてスペックだけを考えるなら割高感があるかもしれないが、テキストベースのコミュニケーションに満足できずビジュアルコミュニケーション環境を欲しているユーザーにとって、これ以上の選択肢は見つからないだろう。価格に値するだけの機能がしっかり詰めこまれたミニノートだ。

PCG-C1MRXの主なスペック
CPU Crusoe TM5800-733MHz
メモリ 256MB
液晶 8.9インチ
解像度 1280×600ドット/フルカラー
HDD 30GB
CD-ROM オプション
通信 モデム、Bluetooth、無線LAN
サイズ 249(W)×152(D)×28~30(H)mm
重量 約998g
OS Windows XP Home Edition
Officeアプリ

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