【Wireless Japan 2000/IP.net 2000 Vol.8】見えてきたIMT-2000──NTTドコモのW-CDMAサービスは、映像/音楽配信に対応した強化版iモードという位置付け
2000年07月24日 00時00分更新
東京ビッグサイトで、17日から19日まで開催された“Wireless Japan 2000”の大きなトピックのひとつに、次世代携帯電話“IMT-2000”がある。最終日には“IMT-2000、サービスと将来像”をテーマに(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ、松下通信工業(株)の担当者が講演。2001年5月の開始を予定しているNTTドコモの“W-CDMA”(DS-CDMA)”サービスの枠組みが見えてきた。
通信関連企業のトップが集まる“ワイヤレス・コンファレンス”は、“Wireless Japan 2000”の目玉のひとつだ |
PHSやiモードを踏み台に、より高度なマルチメディアコンテンツを提供
「IMT-2000は、既存のPHSやiモードサービスの延長線上にあるもので、まったく新しいサービスにはならない」。NTTドコモでIMT-2000を担当する野村秀樹常務取締役は、カンファレンスの席上で同社のW-CDMAサービスをそう説明した。野村秀樹氏 |
同氏によると、IMT-2000で提供されるコンテンツサービスは、現行のiモードのような文字情報中心の情報サービスに、映像情報や音楽配信などのマルチメディア系機能が追加されるイメージで、映像/音楽配信用のコンテンツは、同社が今年末までにサービス実験/提供を行なう各種PHSサービスを基本とするという。
NTTドコモは、すでに今年秋のサービス開始を想定してPHSの64kbpsデータ通信を利用した音楽配信サービスの実験を開始したほか、年内には映像配信サービスの実験も開始する。配信されるイメージは、10~15秒程度の短いスポット映像が中心で、テキストベースのスポーツニュースに野球のホームラン画面やサッカーのゴールシーンなどを付加したり、映画予告やテレビ予告を見て、興味のある映画のチケット購入や番組のビデオ録画を行なえるようにする。また、提供は先になるが、携帯電話を利用した位置情報サービスや翻訳サービスなども視野に入れているという。
移動時最大348kbps/固定時2Mbpsの高速なデータ通信を実現するW-CDMAサービス対応の電話機は、カラー端末が標準となる。
端末の種類としては、現行のiモード端末に動画再生機能が付加された「基本端末」、デジタルカメラを装備し映像の送信が可能な「ビジュアルホン」、音楽配信専用端末、PCなどと併用する「データ専用端末」の4種類が用意される。また、電話機の情報は現行のROMに焼き付ける方式から、電話番号などの情報を格納したUIMカードを差し替えることで簡単に機種変更ができる仕組みなども検討していく予定だ。
NTTドコモが来年5月のサービス開始を狙っている次世代携帯電話サービスは、当初のデータ転送速度が上り64kbps/下り384kbpsになる見込み。提供エリアは当初東京23区/横浜/川崎の3地区で、2001年末をメドに大阪などの主要都市、2002年4月までに現行のデジタル携帯電話(PDC方式)並みのエリアを確保する。料金的には、音声通話料が現行のPDC並、パケット通信料はiモードのパケット通信料(0.3円/128バイト)の数分の1程度に抑えられる模様。加入者数の割合は、1年目は1割以下、全国にエリアが拡大する3年目に8割の普及率を目指す。また、高速な2Mbpsの通信に関しては、サービス開始後1~2年後に提供され見通しだが、料金的な問題があるため個人ではなく企業をメインターゲットにしたものになる見込みだ。
端末の価格は基本端末が2~3万円程度となるが、講演後野村氏は記者に対し、UIMの導入に伴って従来の事業者補填を見直す可能性があることも示唆した。その分端末は割高となるが、安価な通信料で競争している香港などを例にあげながら、W-CDMAサービス開始が、キャリアが電話機メーカーの製品を買い取る現在の方式を見直していくいい機会となるかも知れないとコメントした。