20日、東京・有明の東京ビッグサイトで“デジタルミュージックフェア~MIDI
WORLD 2000~”が開幕した。主催は(社)音楽電子事業協会(AMEI)と(株)日本経済新聞社で、国内の電子楽器関連メーカー13社が出展した。イベントは23日の日曜日まで開催中。
'80年代を制した日本製のデジタルシンセサイザーの名機たち。手前から(株)コルグの『M1』、ローランド(株)の『D-50』、ヤマハ(株)の『DX-7』 |
シンセサイザーや電子ピアノなど最新の電子楽器を一堂に集めたイベントで、同時開催の“ぱそまる”と同様、体験型の展示が中心。ローランド(株)やヤマハ(株)、コルグなど各社のブースでは、実際に楽器に触れて試奏することができたり、体験セミナーが常時開催されるなど、通常の展示会とはやや雰囲気の違うオープンな雰囲気に満ちていた。タイミング的には各社ともすでに新製品をリリースしたあとでもあり目玉的な新製品はなかったが、どのブースでもデモ演奏が絶えず実施されている状態で非常ににぎやかではあった。
展示された楽器のほとんどは自由に触れることができる。ローランドのパッドは大人気 |
(株)河合楽器製作所は低価格の電子ピアノ『es1』のカラーバリエーションモデルを参考出品した |
新製品は少なかったが、ヤマハのブースには『MU-1000/2000』と同じ音源仕様ながら液晶ディスプレーや操作ボタン類を廃してコンパクト化した音源システムの新製品『MU500』が展示された。光デジタルアウトも装備している |
カシオ計算機(株)のブースでは笛とシンセサイザーのデュオによるデモ演奏が行なわれた |
AMEIブースではIEEE1394を音楽制作に利用する“AMEI 1394プロジェクト”のデモ機を展示した |
目玉イベントは、主催者のAMEIが設置した特別ブース。“シンセサイザー・ミュージアム”と冠されたこのブースには歴代の電子楽器が30台近く展示され、来場者の注目を浴びていた。シンセサイザー黎明期のアナログシンセの名機『ミニムーグ』から最新のデジタルシンセまで、さながら“シンセサイザー博物館”。
アナログシンセの代名詞『ミニムーグ』。今でもビンテージとして高値で取引されている。米Moog Music社製 |
サンプラーのハシリとなった『イミュレータII』。犬の鳴き声の演奏を覚えている人もいるだろう。米E-mu Systems社製 |
ヤマハの最初のシンセサイザー『GX1』。エレクトーンのようだが同社の初期のシンセはすべてこんな雰囲気。隣は専用スピーカー |
ヤマハのピアノ製造記念モデル。自動演奏機能にタッチパネル付きの液晶モニタ、DVD-ROMドライブなどを盛り込んだもの |
手前から米ARP社のオデッセイ。米Sequential Circuits社のプロフィット5、米Oberhim社のOB-8。アナログシンセ全盛の'70年代末期から'80年代初期のころの海外の名機たち |
ブース内では多彩なデモも行なわれ、中でもサウンドプログラマーとしてYMO(Yellow
Magic Orchestra)の第4のメンバー*と言われてた松武秀樹氏が参加して、本物のYMOの楽曲のシーケンスデータを使って演奏するというイベント“ライディーン・テクノポリスのあの音はこのシンセから生まれた”が大盛況。ブースからあふれ出そうなほど集まった人たちがタンスほどの大きさもあるアナログシンセの図太い音を浴びながら名曲のナマ演奏に聞き入っていた。
松武秀樹氏を迎えたスペシャルデモ。懐かしいYMOのエピソードも披露された。ヤマハやローランドの製品発表会でもおなじみのプログラマー氏家克典氏や坂上暢氏がMCを務めた |
YMOのツアーで実際に使われた松武氏の『MOOG IIIc』。“タンス”と呼ばれたアナログシンセ。複数のモジュール間の信号の流れをケーブルでつなぐ仕組みだ |
実際に使われたデータでライディーンを演奏するなどマニアにはたまらないデモだった。松武氏はE-Mu製アナログシンセを、坂上氏はシンセサイザーの『ジュピター8』を、氏家氏は同じく『プロフィット5』を演奏している。このデモには大勢の人がかけつけ、ブースから人があふれるほど |
なおホール展示のほかにMIDI検定セミナーが毎日開催されるほか、22日にはヤマハとローランドの楽器開発に携わってきた中心人物が電子楽器の未来を語る“MIDIスペシャルトップフォーラム”も実施される。
DTMを体験できるさまざまなセミナーも無料開催。初めてのコンピュータミュージック体験に幅広い年齢層の人が参加した |