日本ヒューレット・パッカード(株)(日本HP)と日本シスコシステムズ(株)(日本シスコ)、ヒューレット・パッカード・ソリューション・デリバリ(株)(HPSD)の3社は16日、都内で共同記者会見を開催し、企業向けインターネットビジネスの分野で提携すると発表した。
日本シスコの黒澤保樹社長(左)、日本HPの寺澤正雄社長(中)、HPSDの岡田一夫社長 |
それぞれの米法人である米ヒューレット・パッカード社と米シスコシステムズ社はワールドワイドで提携を結んでいる。両日本法人はこの提携により、日本市場での競争力強化を図ることが目的となる。
今回の提携でターゲットとするのは、ネットワーク構築などITインフラへの投資を予定している企業ユーザー、およびインターネットサービスプロバイダー(ISP)となる。3社は今後、これらのターゲット企業に対して、協調してハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングなどのサービスを統合的に提供していくこととなる。また、通信事業者との協調により、通信、ネットワーク回線の提供も行なうという。
企業ユーザーに対しては、日本HPのハードウェア、ミドルウェア、システムコンサルティングおよびサポートと、日本シスコのネットワーク機器製品群と各種ソフトウェア、HPSDの電子商取引、CRM(*1)、ERP(*2)、SFA(*3)などのシステムを統合して提供する。各社の担当者が協力してシステムの構築から運用、保守、管理サービスを行なうことで、ユーザーの導入コストの削減ときめ細かいサービスの提供を図る。
ISP向けビジネスの分野では、インターネット向け利用データ収集ソフトウェアや、ATM
WAN(Wide Area Network)のマネジメントサービスの提供を中心に行なう。インターネット向け利用データ収集ソフトウェアとは、ISPでの利用度別課金システムや利用データ解析を目的としたもの。契約者の利用状況を収集・分析することが可能だという。
今回の提携で、日本HPはシステムのデモンストレーションや評価用設備の貸出しを行なうテクニカルセンターとして“IPネットワーク・テクノロジ・センタ”を、同社新宿事業所および神戸事業所に設置する。同センターではこのほか、ネットワークの検証作業や技術支援なども行なうという。また、日本HPとHPSDの両社で、シスコがワールドワイドで検定を行ない、認定するシスコ認定技術者を、2000年中に100人育成する方針だという。一方日本シスコでは、日本HP、HPSDに対して協調して顧客を獲得するための販売責任者と専任の技術サポート担当者を設置している。
3社によると、この提携により、今後1年間で200億円の売り上げを目指すという。200億円の内訳は、日本シスコが40億円、日本HPが40億円、HPSDが120億円となっている。
日本HPの寺澤正雄社長は、「米HPと米シスコは、すでにワールドワイドで非常に重要なパートナーとなっているが、残念ながら日本法人レベルでの協力関係は遅れていた。今回の提携で、HPが掲げる次世代インターネットのコンセプト“E-Services”の実現に近づけると考えている」とコメントした。
日本シスコの黒澤保樹社長は、「米国におけるインターネットビジネスの市場規模は、自動車産業と肩を並べようとしている。この成長は予想を上回るスピードだ。日本でもこの分野の発展が見込まれる。日本HP、HPSDと力を合わせて、ビジネスを進めたい」と語る。
- 注1)CRM:Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略。情報通信技術を利用して顧客の分析を行ない、その顧客に最適なサービスや商品を提供する。注2)ERP:Enterprise Resource Planning(エンタープライズリソースプランニング)の略。全社、あるいは部門単位で統合したデータベースなどとの連携により、財務、人事、販売管理、物流などを統合的に管理運用するシステム注3)SFA:Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略。コンピューター技術を利用して営業部署の効率を向上させようという概念。典型例として、現場の営業マンの携帯型パソコンなどと社内情報システムとをインターネットで結び、情報をやり取りする営業支援の仕組みがある。日本ヒューレットパッカード
- 日本シスコシステムズ