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すべてのデバイスはBluetoothに通じる

2000年04月03日 11時56分更新

文● 月刊ASCII network PRO

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W-CDMA方式採用のNEC携帯電話とCCDカメラ写真
W-CDMA方式を採用したNECの携帯電話とCCDカメラ内蔵のビューア(両方とも試作器)。両デバイス間のデータ転送にBluetoothを用いる

 Bluetoothは、現在半導体メーカーによるチップセットやモジュールの開発が着々と進行している状況で、2000年の夏から携帯電話、パソコン、家電の順に製品化されることになる。1999年末にはEricssonがいの一番にBluetooth対応の携帯電話とヘッドセット(※9)を発表している。COMDEX/Fall '99では、携帯電話、PCカード、デジタルカメラなどの試作品のほか、SonyがBluetoothインターフェイスを備えたメモリスティック「Infostick」、NokiaがBluetooth携帯電話から利用可能な自動販売機などを参考展示した。



Ericcsonのヘッドセット写真
EriccsonのBluetoothヘッドセット

 製品が出た後もBluetoothインターフェイスLSIの集積化と量産効果による低価格化が進む。そして、2001年の春にはBluetooth SIGが普及のための最低ラインとして定めた「1チップ化・5ドルの生産コスト」が達成され、爆発的な普及を迎えることになる。これが決して夢物語でないのは、Bluetoothが業界標準として完全に認知されたからである。標準仕様が決まったあとは、インターフェイスLSIの機能的な差はもはやあまりなく、むしろ闇雲に製品化と低価格化を追求していかなければ、他社との競争に勝てない。

 MicrosoftのBluetooth SIG参加により、Windows OSへの搭載も近くなり、Universal Plug & Playにも取り込まれる。また、国内ではNTTドコモやIDO(日本移動体通信)という大手キャリアが、次世代携帯電話サービス「W_CDMA(※10)」でBluetooth採用を決めているという追い風がある。とにかく今までになく製品化が早いという点は間違いないようだ。



ソフトウェアスタックの図
図8 Bluetoothのソフトウェアスタック。半導体メーカーの提供するモジュール、チップセットと、HCIの上位レイヤで動作するホストに別れる。ホストの開発に時間がかかるため、製品化に際してはサードベンダーのソフトウェアスタックを利用する場合が多くなると考えられる
※9 ヘッドセット……ヘッドホンとマイク一体型のデバイスで、ハンズフリーでの通話などを実現する。1999年11月の道路交通法改正により運転中の携帯電話の使用が禁止されたため、こうした機能を搭載したアクセサリは注目されている。Bluetoothでも、ヘッドセットプロファイルなどを用意することで、ヘッドセットから携帯電話を介したハンズフリー通話を実現できる。

※10 W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)……限られた帯域幅を多くのユーザーで有効に利用するための多元接続方式の1つ。CDMAと技術的に大きな違いはない。ただ、移動体通信として現在用いられているcdmaOneの帯域幅1.25MHzに比べて広い帯域を使うという点が異なっている。ただ、一般に「W-CDMA」という場合、次世代移動体システム「IMT-2000」の無線通信として日本が提出した仕様と実際のサービスを指すことが多い。W-CDMAのサービスでは、Webブラウズやメールのほかに動画配信や遠隔医療、テレビ会議など幅広いアプリケーションが提供される。DDI、IDOが2000年夏、NTTドコモが2001年の3月、日本テレコムが2001年秋にそれぞれサービス開始を目指している。

HCI(Host Controller Interface)……モジュールとホストの間で行なうやりとりを規約したインターフェイス。Bluetoothでは、ホストからモジュールを制御するためのコマンド、他のBluetoothデバイスとのリンクや状態をホストに通知するイベント、実際に送受信されるデータのパケットタイプが用意されており、トランスポート層からピコネット内のBluetoothデバイスの制御を可能にする。

Link Manager……他のBluetoothデバイスとの通信を確立・制御するためのサービス。LMP(Link Manager Protocol)を経由し、他のデバイスとの接続を確立し、データの送受信を行なう。具体的には、1接続の確立、2ネームリクエスト、3デバイスの認証、4データあるいはデータ/音声のモード設定、5パケット交換および、6データ送受信、7Sniff、Hold、Pageなど低電力モードのセットアップ、などを行なう。

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