ニコニコ動画内で生まれた日本語ラップ「ニコラップ」の先駆けとなった、インターネット発のらっぷアーティスト・らっぷびと。
「絶望先生」「ひぐらしのなく頃に」などサブカル系深夜アニメのテーマソングを巧みにアレンジしたクオリティ高いラップで多くのユーザーをトリコにしてきた。
ASCII.jpが初めてらっぷびとを取材したのは、ファーストアルバム「Rap Beat」をインディーズとして発売した昨年夏のこと。同アルバムはオリコンインディーズチャート3位にランクインするほどの人気を獲得した。
その後「絶望先生」オープニングテーマを元にした「俗・人として軸がぶれているらっぷ」は原曲の大槻ケンヂ本人から「公認」を受け、業界の話題をさらった。
そんならっぷびとが3月11日、いよいよEMIからメジャー初アルバム「Rap Music」をリリースすることになった。先行シングル「All Day, All Night」を2月にリリースしたばかりのらっぷびとに、メジャーデビューまでの経緯、そして現在の心境について聞いた。
「空想ルンバ」録音は1週間がかり
―― EMIからのリリースで何か変わったことはありましたか?
らっぷびと すごく心境的に変わったとか、周りの環境が変わったとか、そういうことはあまりなくて。「店頭にCDが並んでいる」とか「アルバムを聴き直すと自分の曲のクオリティが上がっていることに気づく」とか、そういうところから「メジャーになったのかな」というのは感じますね。
―― これまではいわゆる「宅録」メインでしたよね。それをスタジオで録音するようになって変わったことはありましたか?
らっぷびと やっぱり「色んな人と一緒に作っている」ということですね。今まではずっと家でパソコンに向かって歌ってるという形だったので、エンジニアさんであったりディレクターさんがついてくれるのがありがたいなという感覚です。
どうしても自分だけでは気づけないところもあるので、そういうところを直してもらったりする。スタジオ録りすることのいい勉強にもなるなと思っています。
―― 大人数が関わるとなると、プラスの面だけではなく人間関係のわずらわしさというものも生まれてくると思います。なんとなく「1人の方がラクなんだけどな」と考えてしまうことはありませんか?
らっぷびと 「(スタジオに)行って作る」ことは別にいいんです。1年間で「自分のここがダメだった」ということがよくわかったところもありますし。自宅でも何回も歌いなおしたりと、自分に厳しくなったところがあると思います。
ただ、それより何よりわずらわしいと思っているのは、家を出てからスタジオまでの道ですww 家出て5秒くらいで着けばいいのになあと思ったりもしますw
―― 関わる人間が多くなると、曲の制作全体の時間もかかるようになるんでしょうか。
らっぷびと 曲によりますね。もちろん既存曲をリアレンジして再収録という場合は、4時間くらいもあれば録れてしまうんですけど。新曲だとか難易度高めの曲はかかります。今回のアルバムで言えば大槻ケンヂと絶望少女達とコラボした「空想ルンバ」ですね。
もちろん歌詞を書くのにも苦戦しますし、キー自体も高いのでサビとかを録っていると喉がつぶれてしまうんです。録り終わるまで、大体1週間くらいはかかりましたね。さすがにもうやりたくないw
―― ライブで歌われたりはしないんですか?
らっぷびと 先週20日に新宿のLOFT/PLUS ONEで、大槻ケンヂさんの「のほほん学校」というライブに出演して、初めて大槻さんとお逢いしたんです。そのとき「人として軸がぶれているらっぷ」(以降「軸ぶれ」)と空想ルンバを歌ったんですね。
練習する時間があればよかったんですが、1人で練習してるところに大槻さんがやってきて「らっぷ君、『空想ルンバ』俺が1回入って合わせてもらっていい?」と言ってくださってやってみたんですね。もうちょっと練習した方がよかったかな、とお互いに思いましたw
―― 大槻ケンヂさんだけでなく、今回のアルバムで色々な新しい人と出会う機会があったと思います。最も印象に残っている人がいれば。
らっぷびと 一番新鮮だったのは今朝のことなんですが、久々にMySpaceにログインしたところ、ROCKY CHACKさんから「新鮮な気持ちでリンゴ日和を聴けました」とメッセージが届いていたんですね。思わずメッセージで感謝を伝えました。作ってよかったなと。
