モバイルウィジェットの使い勝手
確かに我々はケータイの待ち受け画面に壁紙を貼ったりアプリを貼ったりしてきた。ケータイの待ち受け画面は新聞で言えば一面だし、雑誌で言えば表紙だ。常にユーザーの目に触れる特等席なのである。これまで壁紙もアプリも1つしか貼れず、何かのアプリが独占してしまうものだった。また、1つだけだと代わり映えしないため、すぐに飽きられら変えられてしまう。しかし、ウィジェットによって、複数のアプリで待ち受けをシェアする構造に変わったのだ。
2008年秋・冬モデルでモバイルウィジェット対応端末としてリリースされたのはシャープ製のFULL TOUCH「SoftBank 931SH」の1機種のみ。新しいプラットホームなのに1機種のみ対応は少し寂しいが、最先端の機能に反応するユーザーと931SHを使おうとするユーザーは一致していると見ているのだろう。
スライド型の931SHは閉じた状態でもタッチパネルですべての操作を行なうことができ、ウィジェットの操作も直感的だ。待ち受け画面に表示されている「OPEN」をタッチすると、端末に元からインストールされている13種類のウィジェットがリストアップされる。この中から追加したいウィジェットを選んで待ち受け画面の空いている領域に引きずり出せば配置される。これで準備完了だ。
1画面に配置できるウィジェットは3つまでだが、931SHには4つのシートが用意されているため、トータルで配置できるウィジェットは12個。シートはiPhoneホーム画面のように、画面全体を横にスクロールさせて切り替えることができる。
ウィジェットをタッチすればすぐにそのアプリが全画面で開き、サービスを利用できるようになる。必要に応じて端末のブラウザでウェブにアクセスするが、ウェブに飛んだとしても、その使い勝手は非常にシームレスだ。つまり感覚としては、通常のケータイウェブよりも高機能なウィジェットを活用でき、かつ必要に応じてモバイルウェブへ誘導してくれるブックマーク機能、といった解釈もできる。
この点はパソコンのデスクトップで使っているウィジェットよりも、待ち受け画面からウェブへつながる感覚がスムーズで操作感がとても心地よい。
「使って頂きたいユーザー層は特に固定していません。今回タッチパネル搭載のハイエンド機に初めて搭載されたのですが、直感的なタッチ操作とウィジェットは相性がよいですね。ただし、必ずしもタッチパネルが前提ではありません。カーソルキーだけでも使いやすい設計にしてあります」と話すのは、マーケティング本部の田中久美子氏。タッチパネルが苦手なユーザーでも安心して使える点はうれしい。
初期のコンテンツのセレクションはYahoo!ケータイのニュースや天気、地図などのよく使うアプリだけでなく、mixiやMySpace、モバゲータウンなどのケータイから利用できるSNSコミュニティのアプリもプリセットされた。例えばmixiアプリならウィジェットから日記を更新できるし、MySpaceアプリはアーティストの情報に直結する魅力がある。
使う動機が強いアプリをプリセットできた点は、ユーザーに便利さが強く伝わるのではないだろうか。
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