12月8日に開催された富士通の新端末発表会にて、同社の携帯電話ビジネスの取組みが発表された。
IDC Japanなどの調査によると、2007年度に5100万台だった携帯電話の販売台数は、2008年度は約3790万台と予想されており、25%ものダウンを強いられると見られている。そういった市場環境においても、同社の取締役副社長 富田達夫氏は「2012年には(携帯電話を含む)ユビキタス市場規模が10兆円以上と今後も有望な市場」と、同社として積極的に取り組んでいくことを発表した。
ケータイ開発においては、「インターネットのケータイ化」「アプライアンスとしての競争力強化」「ケータイ基本要素の深掘」などを今後の課題に挙げる。
ケータイプロセッサーの高速化や回線の高速化に伴い、インターネットをより自然にモバイルに楽しむことになり、「タッチパネルの搭載といったUIの重要性は増していく」と富田氏は述べる。
また、「これまで富士通のケータイはダサイ、もっさりしているというイメージがあった」(同社 経営執行役 佐相秀幸氏)といったように、デザインの改革が必要と感じているようだ。今回登場させたNTTドコモのF-02Aではジュエリーブランドの「4℃」と、F-04Aではアパレルの「UNITED ARROWS」とのコラボレーションを行なうことで、洗練されたイメージを手に入れようとしている。
さらに、同社の「らくらくホン」に代表されれるユニバーサルデザイン技術を他の機種にもヨコ展開を行なっていくことで、「誰もが安心して使えるケータイ」を目指していく。
防水の富士通で市場拡大を狙う
富士通端末が他社との差別化に繋げる核となる技術が「防水」だ。今回NTTドコモ用に発表されたF-01A、F-02A、F-03A、F-04Aの4機種のうち、F-O3Aを除く3機種は防水機能に対応している。
富士通が防水機能を業界に先駆けて登場させたのが、2007年2月に発売されたF703i。当時、厚さ17.9mmで登場した防水ケータイは翌2008年1月のF705iでは13.7mmとなり、今回登場したF-04Aでは12.8mmまで薄くなった。F703i以降、防水機能を搭載した端末が他メーカーからも登場し、今後はケータイの標準機能として搭載されていく可能性が高い。
同社によると、「F-04Aは2つ折りタイプの携帯電話において、世界最薄防水ケータイを実現」しているそうだ。佐相氏は「10mmを切るというのが次のチャレンジ」と述べる。
富士通の防水の進化の歴史は小型薄型を目指しただけではない。例えば、2つ折りでは単純な開閉動作だけだが、F-O1Aのようにワンセグ視聴時などに使うビューワスタイルなどに変形させるときに、端末をねじる動作が出てくる。ねじる動作のためにはどうしても隙間を作る必要があるが、その隙間を実現しながら防水機能を搭載。「細かな部分の防水機能は他社に一歩リードしている」と富士通の技術者は述べる。ハイスペック端末に対応してきた、防水への自負が垣間見えた。
防水機能はユーザーにとってすでに必要十分なクオリティを実現している。外にでも持ち出せるパソコンといった機能を強めるケータイに関しては、日常のお風呂のシーンでも、多少アウトドアで雨に降られても十分に使える。
同社のケータイの「防水」とはあくまで真水を前提としているが、海水に漬けたり、コーヒーをこぼしたりしても、真水で洗えば問題ないといった実力は持っているようだ(メーカーの保障外)。ただ、うっかりオフィスでコーヒーをぶちまける事故が起こりかねない、机の上がカオスなユーザーには安心感を与えてくれる端末と言えるのではないか。
また、今回のF-01AとF-04Aは、富士通が長年培ってきた「指紋認証」技術を搭載しながら、防水を実現した初めての端末となった。自分のデータを物理的な損傷から守る防水機能と、情報漏えいを防ぐ指紋認証。2つの安心を与えつつ、薄型を実現できる端末は富士通以外には見当たらない。
防水機能が今後ケータイの標準機能になったときに、ケータイのサイズを小型化する以外に大きなイノベーションが見つからないことが懸念される。しかし、「i コンシェル」や「i ウィジェット」など、ケータイに個人情報が搭載される機運がますます高まる状況を考えれば、セキュリティに圧倒的な強さを持つ富士通端末はユーザーに大きな訴求力があるのは間違いない。

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