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世界企業パナソニック 90年目の決断 第10回

日本企業は世界でどう戦うべきか?

パナソニックが目指すデジタル版「あかるいナショナル」

2008年12月03日 22時54分更新

文● 大河原克行

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 「パナソニックが目指しているのは、デジタル時代の『あかるいナショナル』だといえる」

パナソニック代表取締役専務兼AVCネットワークス社社長 坂本俊弘氏(撮影:伊藤 幹)

 パナソニック代表取締役専務兼AVCネットワークス社社長の坂本俊弘氏は、パナソニックが目指す商品づくりについて、こう切り出した。

 「♪あっかるーいナショナル」のテレビCMは、TBS系列の人気時代劇ドラマ「水戸黄門」が放映されていたナショナル劇場で、必ず見ることができた。

 30代後半以上の読者ならば、そのメロディを多くの人が口ずさむことができるだろう。

 「あかるいナショナルは、昭和の日本の家庭を象徴する光景。ナショナルの蛍光灯の下で、ナショナルのやぐらコタツに入って、みんなでテレビを見る、という家族の団らんがあった。今後、パナソニックが提案していくデジタル版『あかるいナショナル』は、薄型テレビを中心に、各種AV機器を接続し、さらにインターネットやホームセキュリティをつなげ、テレビの前に家族全員が揃い、すべての機器をリモコンひとつで利用することができる世界。家族の絆を取り戻すことができる世界を提案する」と坂本専務は続ける。

 2008年1月、米ラスベガスで開催された「2008 International CES」の初日。坂本専務は、この日の基調講演のトップバッターとして登壇した。

CES基調講演

基調講演で新たなリビングの姿を、世界最大150インチPDPとともに説明する坂本AVC社社長

 ここで示したのが、「Digital Hearth(デジタル囲炉裏)」であった。

 坂本専務は、その意味を次のように語る。

 「人間は、大昔から火のあるところ、囲炉裏や暖炉のあるところに集まり、そこで、家族や友人がコミュニケーションをし、生活をしてきた。その囲炉裏と同じように、人が集まるための中心的役割を果たすのが、いまは大画面テレビになるのではないか」

 大画面テレビを居間の中心に置き、そこに様々なAV機器をリンクさせて、家族が楽しい時間を過ごすことができる。これが、Digital Hearthの考え方だ。

 日本でいえば、まさに「あかるいナショナル」の言葉によって想起されるシーンともいえる。

 坂本専務が「デジタル版あかるいナショナル」、あるいは「21世紀版あかるいナショナル」と語ったのは、今回の取材が初めてのことだ。

 だが、坂本専務は、「実は、1月からこの言葉を思いついていた。しかし、言い出す機会を逸していた」と、苦笑いしながら明かす。

 CESでの基調講演では、「Digital Hearth」となったが、坂本専務の頭のなかには、明確に「デジタル版あかるいナショナル」のイメージがあったに違いない。

 「これが、松下電器の時代から培ってきた価値観であり、脈々と続くDNA。そして、パナソニックになっても、我々は、形を変えて、同じことをやろうとしている」

次ページ「Whole Life Connectivity」に続く

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