「DRC-MFv3」、それはあらゆる映像を高画質化する技術
歴代のソニー製テレビやレコーダーなどを見ていくと、実はハイエンドモデルにだけこっそりと搭載されている技術がある。それが「DRC」と呼ばれる高画質創造技術だ。
これはブラウン管テレビ時代からすでに誕生していた技術で、いわゆるアップコンバート処理とは一線を画すものだ。DVDなどのSD映像の高精細化だけでなく、今回の「DRC-MFv3」では、1080pの映像をより美しい映像に再現することまで可能にしている。
仕組みを簡単に説明すると、まずソニーが家庭用のテレビやレコーダーだけではなく、業務用ハイビジョン機器も開発していることがカギになる。
その制作過程で得た、MPEG-2などの方式で圧縮される前の、膨大なハイビジョン映像信号のソースデータがLSIに蓄積されている。このデータと放送信号の特徴を比較することで、オリジナル映像と同じ精細感を持つ信号に作りかえているのだ。
DRC-MFv3は映像の高精細さがさらに際立つように進化している。チラつきをおさえつつ、本来の精細感を保ったまま動きまでも鮮明に再現できるようになるなど、より緻密な映像再現が可能になっているのだ。
また、画質調整で映像効果を調節することも可能で、調整メニューの「DRCパレット」では、ディテールを犠牲にせずにノイズを減らす「すっきり」と、精細感を調整する「くっきり」の2軸で調整できる。
その調整範囲はそれぞれ100ステップと詳細な調整が可能だ。メーカーが最適に調整した出荷時の設定のままでも、「DRC-MFv3」の効果は十分に得られるが、画質にこだわる人ならぜひとも自分好みの映像再現に挑戦したくなる、使いこなしがいのある機能だ。
筆者と編集者の「クロストーク×言いたい放題」BRAVIA編
橋本 話題性という点では、前回紹介した超薄型のZX1が上回っている印象ですが、正直、XR1の画質は驚異的ですね。ソニーの技術力の高さも、今回の取材であらためてわかりましたよ。
盛田 「弱点多いけどやっぱ安い! 朝、カーテン開けっぱなしでもニュースが見やすい!」とか、液晶には液晶の良さがあったと思うんですよ。でも今回、LEDバックライトで弱点をほとんど克服してしまったとなれば、液晶の映像が好きな人にはたまらないんじゃないですか。まさに待望のモデルだと思います。高いけど(46V型で60万円前後、55V型で75万円前後)
鳥居 個人的にはプラズマとLEDバックライトの「高画質頂上対決」をじっくりとやってみたいですね。黒の締まりに関してはほぼ同等と考えていいと思います。あとは階調感の表現の違いをどう受け取るか。ここは好みが分かれる部分でしょう。そして、まだ実機を詳しく見てはいないのですが、シャープも気になります。VSプラズマ、VSシャープでの対決がとても楽しみです。
橋本 画質の点では申し分のないテレビだし、もともとBRAVIAはネットワーク機能なども充実しているんですが……アプリキャストみたいに画期的な新機能がなかったのは少し物足りないかな。ソニーらしい新機能にも期待したいです。
盛田 大画面主体のハイエンドとはいえ、価格も高いですからね(まだ言うか) この画質を維持したままでのコストダウンが楽しみです。有機ELが大画面になるまで待つ必要はないですよ~と言えるようになってほしい。
鳥居 個人的には操作メニューなどのブラッシュアップにも期待したいです。クロスメディアバーは慣れてしまえば快適ですが、番組表の配色はどうもいただけない。見にくくはないのですが、わりと暗めの色づかいは改善してほしいかな。それはさておき、前回のZX1をふくめ、ソニーならではの技術力をアピールしてくれた最新モデルは、多くのソニーファンをわくわくさせてくれたと思います。
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