最近の薄型テレビはEthernet端子とウェブブラウザーを内蔵しているモデルが多くなってきた。もっとも、パソコンでウェブを楽しんでいる人にとって、テレビからウェブを楽しむチャンスは少ないかもしれない。しかしそこには上質なウェブ体験が待っているかもしれない。その架け橋になるのが、ケータイなのである。
ケータイを利用して手軽にテレビ向けYahoo! JAPANを使う
ソフトバンクモバイルの2008年夏モデル発表会で、「第5世代」として発表されたAQUOSケータイ SoftBank 923SH。孫正義社長は「AQUOSでYahoo! JAPAN閲覧時のリモコンとして使える」機能を紹介した。
これまでのケータイにもテレビリモコン機能はあった。番組表アプリに自分が使っているテレビのメーカーや世代を設定しておくと、番組を選べばそのチャンネルに切り替えてくれたり、音量調節をしてくれたり。番組録画予約ができるアプリもあった。
しかしこのAQUOSケータイは違う。ソフトバンクユーザーにとって、端末にある「Y!」ボタンを普通に押せばYahoo!ケータイの画面に飛ぶことは定着している。新しい端末ではこの「Y!」ボタンをテレビに向けて長押しすれば、テレビの画面でYahoo! JAPANの画面が表示されるのだ。ここから先は、画面内のコンテンツを、ケータイをリモコン代わりにして閲覧。
これはちょっと凝った仕組みで実現されている。
まずケータイをリモコンとして活用する部分だが、ただ単に赤外線の信号を送っているわけではない。ケータイからYahoo! JAPAN for AQUOSを起動する際、「IrSS送信」というボタンを押す。IrSSとは、赤外線通信規格IrDAの通信速度を4Mbpsまでに向上させた双方向通信「IrSimple」の片方向版(IrSimple Shot)。
「IrSSを利用して、信号を送っているのではなく、JPEGの画像にURLデータを埋め込んで送信するフォトリモという機能を活用しています。画像データ送信後は、自動的にリモコンアプリに変わり、シームレスに操作ができるようになっています」
ヤフーでデジタルホームの企画を手がける菅泉尚史氏は、ケータイからテレビを操作する方法をそう紹介する。ちょうど、手元のケータイに表示されている画面を、テレビの中に拡大表示させる感覚だ。
何が表示されるかわからないURLを送り込むよりも、何がテレビで起動するかを先にサムネイルで見せてくれる点は、ユーザーにとってうれしい対応である。
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