サーボAFや暗部補正などでさらなる撮りやすさを追求
スペック的な部分を見ると、画像処理エンジンが最新のDIGIC 4となり、いくつかの機能が追加された。大きな強化点としては顔検出・顔追尾の速度と性能が向上した点が挙げられるが、サーボAFや暗部補正といった新機能も目新しい。
サーボAFはいわゆる追尾AFだ。シャッターの半押しでAFロックするのではなく、半押しでもAFが常時利いた状態となる。本機のAFモードはAiAF(9点AF)、中央部重点、顔検出の3つから選択できるが、サーボAFは中央部重点と顔検出を選択したときに利用できる。遠くから手前に迫ってくる被写体を撮る際、半押ししたときと全押ししたときでAFがズレてしまうのはよくあること。そんな失敗を水際で防いでくれる機能である。
暗部補正は暗くて潰れやすい部分の階調を引き上げる機能だ。メニューでOFFと自動の2つから選択できる。自動にすると、明暗の差が激しいシーンではコントラストが下がり、暗部が若干明るく写る。最近多くのデジタルカメラで採用されている疑似的なダイネミックレンジ拡張とほぼ同様の機能と考えればいいだろう。
画面内に新しい顔が増えるとセルフタイマーが作動する顔セルフタイマーも面白い。集合写真を撮るとき、撮影者がシャッターを押してから画面内に入るまでの余裕が生まれる。
最近ではこういった顔検出を利用した便利機能が増えている。例えば、富士フイルムの「みんなでタイマー」(登録人数分の顔がフレームに入ると作動するタイマー)があるが、集合写真を撮るシーンでは、撮影者が画面内に入ればいいだけなので、1人追加という割りきった仕様にしたのは分かりやすい。
なお、顔セルフタイマーは集合写真に1人追加でなくても、顔検出0の状態から1人追加でも動作するため、ひとり旅で自分入りの記念撮影をしたい場合にも使える。
コントローラーホイールが変える操作感
これらはDIGIC 4によって実現された新機能だが、これ以外にも機能や操作性が改善されている部分は多々ある。最も大きな特徴は、カーソル周囲のダイヤル「コントローラーホイール」の追加だろう。
従来機ではホイールのふちに指で触れると、画面上にホイールアイコンが表示されて、アニメーションによって指の動きを表現する機能が搭載されていた(タッチホイール機能)。しかし、物理的に回すダイヤルに比べると間違って押す失敗も多かった。
コントローラーホイールはすでに、「PowerShot G」シリーズや「PowerShot SX110 IS」などで採用されているが、コンパクトさ重視のIXY DIGITALとしては初の機能だ。
操作性自体はPowerShotと変わらない。メニュー時のカーソル操作、画像再生時の送り/戻しなどのほか、後述するマニュアル露出モードでシャッター速度を選ぶ際にも使える。
マニュアルAEにも対応
IXY 3000はIXY DIGITALシリーズとして初めてマニュアル露出モードを搭載した。モードセレクタを「P/M」ポジションにしてダイヤルを軽く回すとP(プログラムオート)とM(マニュアル)を切り替えることができる。Mモード内ではカーソルの左右で絞り値/シャッター速度の切り替えを行ない、ダイヤルで各値を変更する。絞り値はF2.8とF8の2段階のみで、絞り優先/シャッター速度優先モードは用意されていない。
また、モードセレクタに「クイック撮影」と呼ばれるポジションが付いた。IXY DIGITAL Lシリーズなども搭載していた機能だが、IXY Lシリーズでは、シャッターボタンを一気に押し込むと、通常の半押しよりも高速なAFアルゴリズムが使用されるというものだった。一方本機では、常時AFが動作し、シャッターボタン押し下げると瞬時に撮影できる仕組みになっている。
さらにこの際、リアルタイムのAF追尾性能を高めるためか、液晶へのライブビュー表示が消え、撮影情報のみが表示される。構図決めは光学式ファインダーで行なう。実際にはシャッター半押しによる自動露出(絞り値とシャッター速度の決定)処理が入るが、シャッターを押し比べると明らかにタイムラグが減る。液晶画面に大きくステータスが表示されるのもかなり分かりやすい。