「PowerShot SX100 IS」は、キヤノン(株)の従来モデル「Powershot G/S/A」シリーズのいずれにも属さない、まったく新しいモデルだ。最も近いのはSシリーズのコンパクト望遠機だが、「PowerShot S5 IS」(関連記事1)よりもさらにボディーを小型化するとともに、新しいインターフェイスを搭載するなどの試みがなされている。
マニュアル撮影へのこだわりがキヤノンらしさ
撮像素子に1/2.5インチ有効800万画素CCD、35mmフィルムカメラ換算で36~360mm相当の光学手ぶれ補正付き光学10倍ズームレンズという構成は、PowerShot S5 IS(有効800万画素、光学12倍ズーム)と似ている。ボディー右側にホールドしやすい大きめのグリップがあるなど、デザイン的にも共通するところはあるが、Sシリーズでは搭載している電子ビューファインダー(EVF)や、Aシリーズの光学ファインダー、背面液晶ディスプレーのバリアングル(可変アングル)機構は搭載していない。また、S/Aシリーズが単3形電池4本で駆動するのに対し、本機は単3形電池2本という電池構成を採用することにより、格段にコンパクトなボディーとなっているのが特徴だ。
ボディーカラーは写真のブラックのほかシルバーもあり、2モデルが用意される。ボディーの素材には樹脂が多用されているが、特にブラックモデルは銀色塗装のS/Aシリーズに比べて安っぽさが少ない。
横幅ではS5 ISの117mm、PowerShot A650 IS(関連記事2)の112.1mmと比べて108.7mmと、スペック的には大して変わらないが、厚みではS5 ISの77.7mm、A650 ISの56mmに対して46mmとかなりスリムに仕上がっている。電池が2本となってはいるものの、電池での撮影枚数はアルカリ乾電池で140枚、ニッケル水素充電池では400枚と、Aシリーズと比べても減っていない点は高く評価したい。
コンパクトにもかかわらず、グリップ部はしっかりとしたふくらみがあり、かつレンズは鏡胴部を残して沈胴するタイプなので、撮影時に左手によるサポートも行なえるなど、ホールド性は非常にいい。レンズ鏡胴のリング部は、S/Aシリーズとよく似たデザインではあるものの取り外すことはできず、コンバージョンレンズにも対応していない。撮影機能はS/Aシリーズと同様にマニュアル露出、マニュアルフォーカスも可能となっている。特に絞りはF2.8~8.0まで10ステップと幅広い設定が可能で、マニュアル露出付きコンパクト機のなかには2~3ステップしか持たないモデルが多いなかでは、PowerShot Aシリーズ譲りのこだわりのスペックとなっている。
SX100の新機能、その1
カーソル入力を兼ねたリングダイヤルのインターフェース
従来のPowerShotシリーズと大きく異なるのは背面の操作部で、S/Aシリーズなどとは一線を画した、新しいインターフェイスが取り入れられている。ひとつはカーソルキー部にあるコントローラーホイールで、カーソルキーと電子ダイヤルの2つの機能を備えている。同社の「PowerShot Gシリーズ」でもカーソルキー周囲にリング状のダイヤルを設けることで各種の操作が行なえるようになっていたが、Gシリーズではカーソルキーとダイヤルが別々だったのに対して本機では完全に一体化しており、リングを回せばダイヤルとして、上下左右に押し込めばカーソルとして機能する。最近の「IXY DIGITALシリーズ」が採用するタッチホイールの操作では、物理的に回転する機構がない(ホイール上で指を滑らせる)ため操作にはやや慣れが必要だったが、コントローラーホイールならばだれでもすぐに使えるだろう。
特に露出補正やマニュアル露出撮影時の絞り/シャッター速度の指定の際に便利に使えるホイールだが、クルクル回しているうちに力の入れようによっては誤って押し込んでしまい、カーソル上下左右にアサインされているISO感度や連写モードなどの設定モードに不意に切り替わってしまうことがあるのが気になった。実機を試していて気づいたのだが、片手で本体を持ったままホイールを操作すると、カメラ自体を安定して保持するために親指に力が入ってしまい誤操作しやすいようだ。
SX100の新機能、その2
液晶パネル下の大型ボタン4つ
もうひとつの新しいインターフェースは、液晶ディスプレーの下側に並ぶ4つの大型ボタンだ。機能はイージーダイレクト/フェイスキャッチ(顔認識)/DISP/MENUと、機能自体は従来から大きく変更はない(フェイスキャッチ用ボタンが単独で用意されるのは新しい)のだが、カーソル周囲ではなく液晶ディスプレー下部というのが同社としては目新しい。とかくボタンが小さくなりがちな最近のコンパクト機の中で、これら4つは大きなボタンとなっているため非常に押しやすく、この配置によってカーソル周囲、特に右上の部分が空いて親指を掛けやすくなったのはかなり使いやすい。
