キヤノン(株)の「IXY DIGITAL 20 IS」は、2007年に発売された人気モデル「IXY DIGITAL 10」(関連記事1)の上位モデルにあたり、ほぼ同じサイズながら光学式手ぶれ補正を搭載しているのが大きな特徴だ。
“10”が710万画素CCDを搭載しているのに対し、20 ISは新たに800万画素に高画素化した。レンズは光学3倍ズームなのは同じだが、10では35mmフィルムカメラ換算時で35~105mm相当だったのに対し、38~114mmへ若干望遠寄りとなった。
基本となる機器配置は10と同一で、シンプルな直方体ボディーやシャッターボタン周囲のリング状ズームレバー、このサイズにも関わらず光学ファインダーを搭載する点など、IXY DIGITALシリーズの多くのモデルに共通する点だ。ただし、フラットな平面だけで構成された10とは異なり、前後パネルは緩やかな曲面となっている。特にフロントパネルの中央右側はわずかに窪んでいて右側面が軽くヒョウタン型になっているなど「IXY DIGITAL 2000 IS」(関連記事2)にも共通するデザインが取り入れられている。一方、背面は上下の天面/底面に繋がる曲面部分以外はフラットとなっており、液晶パネルやスイッチ類も背面と同じ平面となっている仕上がりは10と同様だ。
光学式手ぶれ補正の搭載以外の新機能としては、“クリアライブ液晶”ディスプレーが進歩して10のものより視認性が向上していることも挙げられる。この“クリアライブII液晶”ディスプレーはコントラスト比では正面で3倍、斜め方向で10倍に向上したとされており、確かに10では側面から見るとやや白っぽくなったのに対して、かなり傾けてもほとんど視認性が落ちないのは驚くほどだ。可変アングル液晶ディスプレーを持たないカメラではハイ/ローアングル時で撮るときに液晶ディスプレーが見づらくなると困りものだが、斜め方向からの視認性が大きく向上したため、高い位置に掲げての縦位置撮影でも構図を取りやすくなった。防汚・防キズコーティングに関しては10と同様だが、表面に指紋が付いても視認性は落ちにくく、持ったときの感触も極めて硬質で安心感がある。
電子的な面では、最新の映像処理エンジン「DIGIC III」の採用などさまざまな機能が細かく改良されている。目新しい機能としては、AF時の拡大機能があり、ピントの合った場所が画面内で大きく拡大表示される。MF時に中央部を大きく拡大する機能はデジタルカメラではよく見受けられるが、AF時にも用いられることで本当に合わせたいところにピントが合ったのか確認しやすい。この機能は中央AFもしくは顔検出AFのモードで動作し、AiAF(9点AF)モード時には通常の合焦枠が表示されるのみだが、特に顔検出AF時にはシャッター半押しによって顔部分だけが大きく表示されるので大変分かりやすい。顔検出自体も機能強化され、従来のAF/AE/FE(フラッシュ調光)に加えてホワイトバランス補正、撮影時赤目補正(従来は再生時に顔検出しての補正だった)、撮影後の顔を中心にした自動トリミングなどの機能が加わった。
このほか、新機軸としては撮影時に画面内で動きのあるとシャッター速度や感度が上がる「モーションキャッチテクノロジー」と呼ばれる機能も付加された。被写体の動きの有無でぶれ防止のためにシャッター速度が上がる機能は各社で取り入れられているが、光学式手ぶれ補正機構でのカメラ本体のぶれや明るさ、被写体の動きなどを総合的に勘案して最適な光学式手ぶれ補正の量とシャッター速度、感度を演算しているのが特徴のようだ。
