マルチタッチとARが生み出すモノ
清水 そして、マルチタッチにARを組み合わせると本当におもしろいと思います。いまウチが作っているのはARを使ったアクセス解析なんです。ウチの会社は、業務としてケータイ用のCMSを提供しているのですが、数年使っているとファイル数が多すぎて、アクセス解析も難しくなってくるんです。そこで、現状ではアクセス解析画面を3次元グラフィックで表現して、高さや色でアクセス数や更新頻度を表現しようとしています。それを2Dの画面で見るとなかなか理解が難しいんです。これをARとマルチタッチで表現できたとしたら、回り込んで3Dグラフを見るとか、画面に触ってグラフを回転させてみたりとか、そういうことができると思うんですよ。バカバカしいかもしれませんけど(笑い)。
高須賀 いやいやそんなことありませんよ。
清水 だから電脳メガネみたいなモノがパソコンのオプションとして発売されることがあるかもしれないですよ。ARは、例えば机の上に特殊なマーカーを置いておくだけで、この上に正確な立体が表現できるんです。他のどんな位置検出方式よりも精度が高いから、すごく自然に見える仮想画像が作れるんです。これを実現できたときのメリットは計り知れないと思います。そしてこれにマルチタッチを組み合わせればすごく楽しいことができると確信しています。
高須賀 実現できたらおもしろそうですよね。
清水 いやーおもしろそうじゃないと若い人がついてこないですから……。業界全体が人手不足なのは、むなしい仕事にみんな移行しているからだと思うんですよね。
高須賀 安心が買えそうというか、保障がありそうな企業に行こうとしますよね。銀行なんかちっとも安心じゃなさそうなのに(笑い)。
清水 そういう安定路線を狙う人がいると、業界全体がつまらなくなってしまうんですよね……。日本はどんどん人口が減っていくから、もっと興味を持ってもらえないといけないと思います
高須賀 いまはまだ1億人以上いるけど、これからどんどん減るからね。
清水 そこで期待したいのが人型ロボットですね。日本の人口が例えば半減してしまったら、それを埋めるのはもう人型ロボットしかない。日本のロボット産業って世界でいちばん進歩してるんじゃないですか?
高須賀 そうですね。特に人型は。
清水 30年前のマイコンを考えてみると、いまこんなふうに個人がコンピュータを持つなんて考えられなかったですよね。それと同じで、人型ロボットも同じようなタームで普及していくと予想してるんですけどね。
高須賀 でも、マルチタッチの話と同じで、おもしろいものに取り組んでいく人がベネフィットを産むものを作り出す可能性っていうのは大きいと思いますね。
清水 最初は、机の上をキレイにしてくれる程度のロボットでいいんですよ。もしかしてそれが、Apple IIにおける「VisiCalc(ビジカルク)」みたいな、コンピュータにおけるキラーソフトのような存在になるかもしれないですよ。
お詫びと訂正:記事公開時に「マルチタッチを使ったアクセス解析」と書かれていましたが、正しくは「ARを使ったアクセス解析」です。読者の皆さまならびに関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことをお詫びして訂正いたします。(2008年7月7日)。
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