
【今週の1枚】和風の影絵がぼんやりと浮かぶ、シルエットスクリーン。ケータイの表情を、静かにかつダイナミックに変えてくれる
auの春モデルの中で、少し違った趣きを見せているのが「W61H」。一番の特徴は、液晶ディスプレーの背面にモノトーンの画像を表示する「シルエットスクリーン」機能だ。はっきりとしたコントラストでありながら、アニメーションを楽しませてくれるという、今までにない不思議な感覚の背面デザインを実現している。
これに使われているテクノロジーが、電子ペーパーだ。背面をほぼ覆い尽くす2.7インチ電子ペーパーによるディスプレーは、巨大なデザインエリアを作りだし、端末全体の印象を変えることができる。
電子ペーパーならではのよさ
電子ペーパーは、僕にとって、ひと昔前の夢のディスプレーだったような記憶がある。
まず思うことは、毎朝キチン、キチンと届く新聞が電子化されたらいいのに、ということ。新聞は、朝食のうちに読み終わらなくても、そのまま持ち出して通勤途中に読むことができる。文字は確かに小さいのだが、ややグレーがかった紙にくっきりとした黒い文字で印刷しているので、視認性が高くて読みやすい。
また新聞は紙面で領域が区切られているので、ひと通り読むと「朝刊を読み終わった、目を通し終わった」というある種の達成感というか、安心感を覚える。何より、対角90cm近くになる見開きで広げたときの一覧性の高さも魅力だ。
ソニーの「リブリエ」や「Sony Reader」、米アマゾンの「Kindle」など、すでに市販化されている多くの電子ブックリーダーが採用している電子ペーパーは「E-Ink」である。これは「マイクロカプセル型電気泳動方式」という仕組みを使い、電圧をかけて白と黒の粒子を移動させることで少ない消費電力での表示を実現している。
電子ブックリーダーは、新聞の見開きや、本のようなページをぱらぱらとめくるような一覧性に欠けることは確かだ。しかし電子ペーパーを使ったデバイスならではの特徴もある。
特にKindleは「EV-DO」の通信に対応していて、書籍のデータをKindle単体で購入できるようになっている。最新刊が出版され次第、すぐに手元の端末で読めるのだ。
iTunes Storeのおかげでレコードショップで音楽を選ぶという行為がなくなるように、これらE-Inkのブックリーダーの普及は、ミライの本の買い方を変えてしまうかもしれない。

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