資格の鮮度を意識した資格取得を目指す
それでは、年齢別に資格の鮮度(賞味期限)が分かる図を下記のようにまとめてみます(図3参照)。
図3では、SEに必要な資格を大きく3つに分けてあります。ひとつが国家資格の情報処理技術者試験、もうひとつが民間が運営するIT関連資格(いわゆるベンダー資格)、3つ目が業務知識に関する資格です。この3つに平成21年度に新試験制度へ移行する国家資格の情報処理技術者試験を加えています。個々の資格の説明や新試験制度の内容については、今後詳しく説明していきますが、ひとまず今回はそれぞれの年代の読者が参考となるよう、年齢別に“鮮度”を踏まえた上の指針を下記で簡潔にまとめてみました。
■20代後半
若い年齢のこの時期には、あなたの技術や仕事振りを信用してもらうために資格を活用します。それにはベンダー資格が必要です。JavaプログラミングをしているのならJavaの資格を、Microsoft系の製品を扱っているならMCPを、必要に応じて取得していけばいいでしょう。これが1つの軸になります。しかし、それだけではあなたの将来性を買ってはもらえません。この年代に対しては、将来性も含めての評価になるので、“基礎力がある”ということもアピールすべきです。そのためには、IT基礎の資格がいいでしょう。
■30代前半
この時期(最前線でバリバリと働き出した頃)に、市場価値のある資格を持っていると、とてもスムーズに仕事ができます。自分の言葉に“説得力”を持たせてくれたり、優秀なメンバーが集まってきたり(類は友を呼ぶ)します。情報処理試験でいうなら高度系、ベンダー資格でいうなら各分野の上級がいいでしょう。プロスポーツの世界でも同じですが、最も油の乗っている時期なので、キャリアアップを考えるのにも、市場価値のある資格は効果的です。
■30代後半
この年代からは、徐々にIT関連資格に頼らずに仕事をしていくことを考えていかなければなりません。というのも後述するように、40歳を過ぎると資格の使い方も変わってくるからです。ただし、この時期は自分が勉強するよりも、部下に勉強させることが重要な時です。その点、資格を持っていれば楽かもしれません。
■40代以上
40歳を過ぎると、IT関連の資格は一部の超希少価値のものを除き、軒並み活用シーンが減ってきます。そもそもマネジメント業務の比率アップし、仕事の質が変わるからです。ただし、業務系の資格はそうではありません。経営に関わるポジションであっても必要になってくる点で、十分役に立ちます。
以上が、年代別にみた資格の鮮度です。これらの情報をベースに、次回以降4回にわたって各年代別に資格のポートフォリオの詳細を見ていきたいと思います。
三好康之(みよし・やすゆき)
(株)エムズネット代表。SE出身のITコーディネータとして、SIベンダーとの交渉代理、見積もり妥当性チェックなど、利用者側の立場で情報化の支援をしている。また、SEの資格取得支援や執筆活動にも精力的に取り組んでいる。
e-mail:y_miyo@mwc.biglobe.ne.jp
URL:http://www5b.biglobe.ne.jp/~miyomiyo/
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